熱海広告祭での公開収録。広告会社内定者からの質問に答えます!(特別ゲスト:谷山雅計さん、黒須美彦さん)

CMプランナー、クリエイターにとって良い営業とは?

澤本:色々あるんですけど、実は営業のプロってクリエイティブに近いんですよ。営業の人でたとえばこういうことをしたいって彼らが思ったら、意外と僕らが思うより色々なことができるんです。

谷山:そうですね。

澤本:実は営業の人が一番、会社の中枢にいて、色々な仕事を自分達のほうに持って行けるし、コミュニケーション能力も高いんですよね。なので、まず一番はやりたいことを共有できる人がいいですね。僕らがやりたいことと、営業の方がやりたいことが一緒だったら、たぶん同じベクトルで、一緒に行ける。でも、そこが共有できてなくて、自分的に利益をこう上げようみたいなことだけ考えてらっしゃる方だと、後で絶対にそこに齟齬がくるから。同じ方向を向いて進められて、同じ方向を向いて悔しがってくれて、同じ方向を向いて喜んでくれる人が一番いい。

谷山:ちょっと澤本さんに先を越された感じがあるんですけど、チームでやるときには、最初のアイデアの取っ掛かりは、自分が営業かコピーライターかはあまり関係ないんです。それよりも、自分は一広告屋さんであるとか、一アイデアマンであると思って、クライアントや商品のために何をすれば最善かをちゃんと考えて、営業であっても当然そういうことは会議でどんどん言ってくれたほうがよくって。

そうしてコアアイデアができたうえで、その後はコピーライターはコピーを整理していくとか、デザイナーは何ミリ単位でデザインを決める、営業はクライアントに対応するといった風に専門に分かれていきます。でもはじめは今言ったように専門で縦割りにやるんじゃなくて、一広告屋として課題に対して考えるという姿勢を持っていたほうがいいと思います。ものすごく真面目なことを言ってしまったんですけど、こんなことでいいんですか?

ハナダ:ありがとうございます。

中村:含蓄ある言葉をありがとうございます。権八さんはどう思います?

権八:2人が全部言いました(笑)。

中村:まだまだ行きます。

ラジオネーム「匿名希望改めアラカワ」さん
広告業界のクリエイティブな話はよく恋愛にたとえられると思うのですが、ずばり恋愛下手でもコピーライターになれますか?

中村:澤本さん、権八さん、谷山さんは恋愛上手なんでしょうかね(笑)。

権八:私が言いましょう。これはまさに谷山さんにおあつらえ向きの質問でして(笑)。

中村:まずアラカワさんに。コピーライターになりたいんですか?

アラカワ:CMプランナーとコピーライターになりたいと思っていて、勉強中です。まずは言葉からと思って、コピーの練習をしております。

谷山:真面目に話しますけど、よくコピーはラブレターだとかいう人がいますが、僕はそれと全く正反対の意見を持っています。というのは、ラブレターや恋愛というのは一対一のコミュニケーションなわけですよ。一対一のコミュニケーションで実は言葉って、それほど大きな意味を持っているわけじゃないんです。

一対一でコミュニケーションをするときって、おそらく相手は言葉よりも普段のあなたの行動とか、どういう人格かというのを見てるし、手を握るとか、ハグするとか抱きしめるとか、いっぱいいろいろな強力なコミュニケーションがあるから、実は一対一では言葉ってサブなんですよ。意外に付け足しぐらいなんですね。

ところが、僕らコピーライターは一対一じゃなくて、目の前にいない百万人、一千万人を相手にして、コミュニケーションをするためにコピーを書いてるわけなんです。こういう言い方をするとキザになっちゃうけど、要するに百万人や一千万人相手にいちいちハグしたり抱きしめたりするわけにはいかないから、その代わりにコピーという道具を使って、このコピーという言葉が俺の代わりにハグしたり、抱きしめたりしてくれよということをやっている仕事なので。

だから、コピーと恋愛は全然違う。でも一方で、コミュニケーションの仕事と考えたら、うまくいかなかった恋愛とか、失敗した恋愛ほど人のコミュニケーション能力を高める経験はなかなかないので、そういう意味において、コピーと恋愛は違うけど、あなたがコピーやCMプランが上手になりたかったら、いっぱい恋愛で失敗すれば、きっと何かの足しにはなると思います。以上。

中村:いいですね~。

権八:素晴らしいな。恋愛と言えば、谷山さんと双璧をなす・・・。

谷山:黒須美彦さん!?

権八:黒須さん来てないでしょ・・・あれっ。

谷山:あっ、来てる(笑)!

次ページ 「広末涼子がポケベルのCMに採用された理由」へ続く

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