10月23日、東京コピーライターズクラブの第53回目を迎える贈賞式およびパーティが開催され、多数の広告関係者が集まり、受賞者への贈賞が行われた。
広告コピーの社会的評価の向上などに顕著な功績を残した先達を称える「ホール・オブ・フェイム」には、今年仲畑貴志氏が選ばれた。贈賞式には、長年担当するクレディセゾンの林野宏社長が登場。セゾンカードがはじまった1982年以来の付き合いだという仲畑氏に祝辞を贈った。
「出会ったときから日本一のカード会社になろう、ずっとやろうと言ってきた。今日クレディセゾンがあるのは50%くらい仲畑さんのおかげ。仲畑さんは人に一切こびない人。そして経営の話もできる人。それが広告をつくるときに最も必要な、仲畑さんの優れたセンスだと思う」。
仲畑氏は受賞を受け、壇上でスピーチを行った。
「表現というのは非常に弱いものです。コピーは、最初にデザイナーが見ていいと言ってくれれば嬉しい。次にクライアント、それが世の中に出て拍手してもらえば、それが次に向かう力になる。僕にとってはそのリアクションの最たるものがTCCだった。だからTCCにありがとう、という気持ちでいます」と表現の制作者たちにとって、応援や肯定的なリアクションが欠かせないものだと強調した。
さらに、サプライズプレゼンターとして、2012年に同じホール・オブ・フェイムに選ばれた糸井重里氏が登壇した。壇上で力強い抱擁を交わしたのち、糸井氏からも次の言葉が贈られた。
「今日、プレゼンターをシークレットでやってもらえませんかと言われてすごくうれしかった。俺がやらなきゃ誰がやる、と喜んでやらせてもらった。コピーには、いいか悪いかだけじゃなく、好きか嫌いかという話があって、仲畑くんのコピーは好きにさせるコピーだと思う。それは『俺の言うほんとのこと』を見つけているからじゃないか。いいコピーを探しているんじゃなく、本当のことを探していて、それをコピーにしているだけなんだ。本当のことを言う人がみんな好きなんだと思います」。
仲畑氏の代表作は、「好きだから、あげる。」(丸井グループ)、「おしりだって、洗ってほしい。」(TOTO)、「愛とか、 勇気とか、 見えないものも乗せている。 」(JR九州)、「ココロも満タンに」(コスモ石油)、「『角』÷H2O」(サントリー)など。装飾性を捨てて、物事の真髄を言い放ち、忘れ難い言葉を送り出していること、また「勝つ広告のぜんぶ」など多数の著作でコピー、広告制作の啓蒙に努めていることも評価された。
会場では、完成したばかりの「コピー年鑑2015」の会場先行販売も行われた。一般書店では、11月初旬からの発売となる。