最後の最後まで、書き切る。「第53回 宣伝会議賞 女子会 駆け込み相談室」レポート

協賛企業賞を獲ったことで、コピーライターになれた

竹田氏が初めて協賛企業賞を受賞したのは医療品メーカー「ADEKA」の、βグルカンという健康機能食品のコピー「私の主治医は私です。」というもの。受賞することを目的に、応募者の少なさが予想できる課題を中心に取り組んだ。ただし、自分になじみのない商品は情報収集に時間がかかることから、商品が全く想像できないものは避けた。

竹田氏がいいコピーを生み出すためのヒントとして挙げるのは、「強い言葉を発見すること」。「ADEKA」のコピーでいえば、「主治医」という言葉を見つけたことが受賞につながった。そして、強い言葉を発見するにはやはり数を書くしかない。2010年に氏が応募したコピーは4000本。「当時の最多応募数だったと聞いています」と竹田氏。

宣伝会議賞を獲るための5つのポイント

  1. 高すぎる目標を作る。(獲れたらいいな、では甘くなる。)
  2. 自分ルールを作る。(例えば、1日100本書くまで家に帰らない。)
  3. 言葉を探す。(SKAT.、コピー年鑑、雑誌etc.で言葉を探しまくる。)
  4. 頭より手を動かす。(質は量がつくる。悩むより書こう。)
  5. 勝手口を開こう。(正面の答えなら誰でも書ける。)

それぞれ異なる目線を持って、宣伝会議賞に挑んできたふたり。共通点は、1分1秒を惜しんでコピーを生みだし続けたことと、締め切り寸前まで書き続けた姿勢だ。事実、竹田氏が2度目に協賛企業賞を受賞したコピーは、作品を郵送する24時の締め切り直前、郵便局で書いた1本だったという。

宣伝会議賞を獲るには?駆け込み相談室

講義の最後に、宣伝会議賞を狙うための相談コーナーが設けられた。多くのコピーを書くための姿勢や、応募する際の絞り込みかたについての質問が相次いだ。

質問:受賞するコピーと、しないコピーの違いは何ですか?
新しい発見と、コピーを見た人から得られる共感があるかどうかだと思います。(木村)

質問:応募作品を50本に絞る時に、どんな視点で選ぶべきですか?
自分で応募する作品のなかで、似たコピーは絶対に出さないこと。他に似たコピーがあると独自性が薄まり落選の対象になるから、自分で自分のコピーをつぶすことになります。(竹田)

質問:書くことに行きづまった時にはどうやって乗り切りますか?モチベーションの上げ方を教えてください。
宣伝会議賞のコピーを書いている時は、休日にカフェを何軒もはしごして気分転換しながら書いていました。他には、実際に課題商品を使ってみたり、売り場に足を運んでみたりしていましたね。気持ちが切り替わるうえに、いい切り口が見つかるきっかけになります。(木村)

何のために、どうなりたくて、宣伝会議賞に挑戦しているのか自分に問いかけてみる。僕の場合は「賞が獲れなければコピーライターを諦めよう」と思っていたので、モチベーションが落ちることはありませんでした。ちなみに、場所を変えて書くほかにも、ひとつの課題で行きづまったら、他の課題に変えて書いてみることがお勧めです。そうするとまた同じ課題に戻った時に、斬新な表現に辿りつけることがあります。(竹田)

アドバイスのなかでふたりが繰り返したのは、とにかく諦めないこと。刻々と宣伝会議賞の締め切り日は近づいてくるが、まだ残された時間はある。最後の1秒まで諦めずに書いたコピーが、今年選ばれる最強のコピーになるのかもしれない。

宣伝会議賞の詳細はこちら


木村敦子
協賛企業賞を過去3度受賞。2015年度TCC新人賞受賞。
大阪にある大学の法学部を卒業後、司法書士勉強中に「人と企業をつなぎたい」と考えリクルートの代理店に営業で入社。その後、求人広告のディレクターとしてコピーやデザインに携わる。2009年にひとつめの協賛企業賞を受賞したことがきっかけで、コピーライターを志した。
竹田芳幸
2009年、2010年に協賛企業賞を受賞。2014年度TCC新人賞受賞。
新卒で広告代理店に営業として入社。プロダクションマネージャーの職を経て、コピーライターを志す。未経験からの転職であったため、内定が取れない時期が長く続いた。協賛企業賞を受賞したことで、これまで選考を通らなかった企業からも合格通知が届くようになり、コピーライターとしての一歩を踏み出した。

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