Anomaly “CHANGE AGENT”の3つの柱に エージェンシーの未来が見えた

「宣伝会議」12月号(11月1日発売)に、ニューヨーク視察研修ツアーのレポートを掲載します。視察から見えてきた米国広告ビジネスの今、そして日本の広告界がめざすべき方向性を5つのキーワードで捉えます。こちらも、ぜひご覧ください。

Anomalyのオフィス。多様な人材が、それぞれの才能を生かして働く同社のカルチャーを感じられる。

「変則」「異例」「逸脱」といった意味を持つ言葉を社名に掲げるAnomaly(アノマリー)は、TBWA\Worldwide、TBWA\Chiat\Dayのクリエイティブディレクターを中心に2004年に設立された独立系エージェンシーだ。

その名のごとく、取り組みは業界内でも極めてユニーク。従来型の広告ビジネスの枠を超える“グロースハッカー”的なビジネスモデルは、R/GAと同様に業界内外から注目を集め、『Advertising Age』が最も優秀な広告会社10社を選ぶ「Agency A-list」で第7位(2015年)になったほか、『Fast Company』の「The World’s Top 10 Most Innovative Companies」にも選ばれた。

「Anomalyは、世の中にある多様なエージェンシーをミックスさせたような存在。一つの言葉で定義されない、不思議な世界観を持っています」と話すのは、同社の共同創業者であるJohnny Vulkan氏。グーグルを担当し、Google Glassを共同開発した人物である。

Anomalyは、クライアントのビジネス課題に対し、アドという形に捉われず、ブランデッド・コンテンツ、ブランデッド・ユーティリティー、ソーシャル、デジタル、デザイン、イノベーションといったさまざまな手法を駆使した、さまざまな解決策を提示する。

さまざまなスキルや知見を持つ社員が集まってプロジェクトチームを組み、クライアントのビジネス成長に徹底的にコミットするのが、Anomalyのやり方だ。

「FacebookやTwitterの躍進からも明らかなように、テクノロジーは世の中の常識や、あらゆる市場の環境を劇的に変えました。マーケティング領域の手法やツールも、急速に進化を遂げています。エージェンシーだけ、そのままの在り方で良いはずはありません」。

実際、Anomalyでは従来型アド以外のサービスの売上向上が顕著だ。Advertising Ageによれば、全売上に占める従来型アドの割合は、デジタルやソーシャル領域を含めて約半分。残り15%をイノベーションや商品開発、10%をビジネス戦略やデザイン、知的財産ビジネスが占めているという。

レピュテーションマネジメントで
優れた人材とクライアントを集める

VHS・DVDレンタル会社がNetflixに、ホテルがAirbnbに、タクシーがUberに、フィルムメーカーがInstagramに取って代わられる時代。このようなイノベーションをクライアントにもたらすこと、“YESTERDAY’S WORLD”を“TOMORROW’S WORLD”へと導くのが、Anomalyの役割だと、Vulkan氏は話す。

「Anomalyは、コミュニケーションビジネスにおける“CHANGE AGENT”として認知されたいと考えています」と言い、自社のPR活動にも力を入れていると話す。

Anomalyのワークスタイルや、掲げるビジョンを広く周知することが、イノベーティブな感覚とチャレンジ精神を併せ持つ、優れたクライアントを引き付けることにつながるという。

「自社の哲学やスタイルに共感し信頼してくれるクライアントと長期にわたるパートナーシップを築き、クライアントと共に成長する。この関係性が理想です」とVulkan氏。

代表的なクライアントは、コンバース。グローバルでのパートナーシップは今年で9年目と、Anomalyのクライアントの中で最も長い。

他にも、グローバルではバドワイザーやキャプテンモルガン、マリオット・インターナショナル、ローカル/リージョナルではハーシー、デュラセル、インフィニティなど、有名企業が名を連ねる。2014年には、グーグル Androidやジョニーウォーカーのグローバルアカウントを新たに獲得した。

Anomalyにとって最も大きなクライアントであるバドワイザーが、2014年開催の第48回スーパーボウルで放映したCM「Puppy Love」。お酒を介して育まれる友情を表現した。

次ページ 「Anomalyが強い、3つの理由」へ続く

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