電通・CMプランナー9年目の佐藤雄介に聞いてみた「これからテレビCMができることって、何だろう?」

——一方、世の中的には「最近、テレビやCMってもう時代遅れで、オワコン(注:終わったコンテンツの略)なんじゃないか」っていう雰囲気も漂っているような気もするのですが・・・そのあたりはどうですか?

佐藤:たしかに、テレビもCMも競合相手が増えましたよね。僕は「CMプランナー」と名乗っていますが、あくまでCMは広告のひとつの手段です。CMだけで広告キャンペーンができるものではないので、どの手段を軸に全体をつくっていくか。ただ今は、その手段が増えましたよね。デジタルを軸にしたり、PRを軸にしたり、そもそも新しいつくり方を開発するところから始めたり。

それで僕より若い世代で、CMプランナー志望の子が減っているんだと思います。だって、他の手段も魅力的ですからね。そりゃ相対的に減るわなぁー、と。

テレビもそうですよね。今のテレビも僕は面白いと思うけど、他の面白い競合相手が増えましたもんね。必然的にテレビCMも影響は受けちゃいますよね。

——いや、そんなトレンドの中、あえてCMで勝負していこうっていう佐藤さん、格好いいですよ。プロの広告マンに全領域対応が求められる今こそ、自分のなかで何か突き抜けた得意分野を持っていることが、発注を受けるうえで重要になってくると思います。完全に御社のCD、菅野薫さんのお言葉の受け売りですが。

そんな佐藤さんは、今後、どのようなテレビCMを作っていきたいと考えていますか?

佐藤:最近、企業がWeb用のバイラルムービーを広告として作ることが多いですよね。ただ、大抵の場合、バイラルムービーでは奇をてらったことをしているのに、テレビCMだと無難な仕上がりになっていることが多いです。

僕、それもったいないと思うんですよ。テレビCMって、やっぱり一番影響力のあるメディアだからこそ、そこで、記憶に残る刺激的なものを作っていくべきだと、自戒もこめて考えています。それこそ、高校生の時の自分が「CMいいじゃん」って思うような。

自分の最近の仕事だと、日清のカップヌードルのキャンペーン「STAY HOT いいぞ、もっとやれ。」のCMを手掛けさせていただきました。

(日清カップヌードル「STAY HOT いいぞ、もっとやれ。」キャンペーンの佐藤健さん、橋本環奈さん&梅宮辰夫さん、西口まりやさん出演のCMを観つつ・・・)

カップヌードルって、ある世代以上の大人には、十分知れ渡った揺るぎないブランドです。だから今年は、今の若い世代に向けて思いっきり振り切ってつくりました。メッセージや表現も若者に対して「もっと熱くていいじゃないか!」「やりすぎたっていいじゃないか!」っていう想いを、ありったけこめました。

結果、ムチャクチャに見えますが(笑)。その自由さを、まずカップヌードルから肯定していく、というキャンペーンです。もっとやろうぜ、って。器のでかいブランドだからできます。おかげさまで、ネット上での反応も大きいです。嬉しいです。 

やはり、何だかんだ言って、テレビCMは今も一番影響力のあるメディア。そして、自分にとっては、その時代で一番影響力のあるメディアが、一番面白いメディアなんです。今後も、自分はテレビCMを中心により刺激的なことを仕掛けていきたいですね。

佐藤雄介(さとう・ゆうすけ)
電通 クリエイティブ・ディレクションセンター5部
CMプランナー/コピーライター

2007年電通入社、2008年よりクリエーティブ局配属、2013年カンヌ国際クリエイティブフェスティバル ヤングカンヌ 「フィルム部門」にて日本人初のブロンズ受賞。TCC新人賞、ACC賞、ギャラクシー賞、ACC学生CMコンクール グランプリなど。最近の仕事/日清カップヌードル「STAY HOT いいぞ、もっとやれ。」、Hulu「淀川長治、登場」、ネオファースト生命「◯◯の妻」、サントリー「wearable bottle ペットボトルおばあちゃん」、マルコメ「ロックを聴かせた味噌汁」の商品開発など
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一般社団法人ACC
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