PR×位置情報で狙った人にコンテンツを届ける
――今回の「ジオターゲティングプロジェクト」とは、どのような取り組みなのでしょうか?
スマートフォンから取得した位置情報とDSPなどを連係させることによって、ターゲティングされたユーザーに情報配信を行うというプロジェクトです。例えば、ある人が遊園地に行ったとします。その人が家に帰った頃にスマートフォンでニュースをチェックしていると、今日行った遊園地のPR動画が流れてきて、再来訪を促す、といったことが可能になります。
これを実現するために、京都にあるスマートフォンを活用したプロモーションの支援会社のアドインテが提供するWiFi/Beacon技術を搭載した「AIBeacon(エーアイビーコン)」を使っています。
この「AIBeacon」は、従来のBeacon端末のように位置情報をフックにプッシュ通知できるだけでなく、Wi-Fiによって匿名のアクセス情報をDMPに集約することができるのが特徴です。この技術を使うことで、ユーザーが特定のアプリをダウンロードしなくても、Wi-FiがONになっているスマートフォンを持っているだけで、匿名IDを付与してユーザーを個別認識し、情報配信できるようになります。
――アプリのダウンロードが不要でユーザーを識別できるのは画期的ですね。ベクトルが位置情報を活用することになった、きっかけを教えてもらえますか?
昨今のテクノロジーが進化によって、メディアを介さずに情報をターゲットに直接届けられるようになっています。この技術をPRにも活用できないかと、昨年9月にベクトルとマイクロアドの合弁会社としてニューステクノロジー社を設立しました。
マイクロアドのDSP「MicroAd BLADE」を使って、Web上の行動履歴をもとにターゲティングを行い、PR用に製作したコンテンツを直接セグメントしたターゲットに配信するということを行ってきました。
この発展形として、「もっとリアルな生活に近い位置情報を使ったターゲティングができないか」と考えていたところ、アドインテに出会いました。
――杉浦さんが代表をつとめるビデオワイヤー社は、ベクトルグループのなかでどんな事業をされているのですか?今回のジオターゲティングプロジェクトにどう関連してくるのでしょうか?
我々、ビデオワイヤーはビデオリリースサイト「NewsTV」を運営しており、PRイベントや記者発表会、展示会などの模様を1分から1分半の動画にまとめて、ターゲットに配信するということを行っています。ニュースリリースや記者発表会には、企業が伝えたいことがすべて入っているので、それをビデオリリース化(動画化)し、アドネットワークやSNSで配信することで、メディアに取り上げてもらわずとも直接、消費者に届けてしまおうというものです。
例えば、ラグジュアリーウォッチの新商品発表会の動画を、同じジャンルの製品に興味のある層、高級車に興味がある層などに直接配信するといったことをしています。この、プロモーションビデオでもなくテレビCMでもない“ニュースリリースの動画版”を、我々はビデオリリースと定義しています。
このビデオリリースを、位置情報を通じてターゲットに届けるということをいま進めているのです。
――テクノロジーの進化によって、PRも進化しているということですね。
はい、そうです。やはりソーシャルメディアで企業がお客様と直接繋がることができるようになったというのが大きいでしょうね。
しかし、ソーシャルメディアでは基本的にフォローしてくれている人とその周辺にしか情報が伝わりませんし、プラットフォーム側のアルゴリズムや接触するタイミングによって、すべてのファンに情報を届けられるわけでもありません。そこから漏れたターゲットは必ずいるので、その人たちにも知ってもらうためには、企業がユーザーの情報を獲得し、分析していく努力が不可欠です。
ゆくゆくは、そうした企業が保有するデータと、我々が取得した位置情報のデータを組み合わせながら、シナジーを生み出す取り組みをしていきたいと考えています。
【問い合わせ先】
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