Shutterstock 優秀なエンジニアの獲得と優れたUXの実現が企業の生命線

データで、企業にインスピレーションを与えたい

「サービス提供を通じて蓄積した膨大なデータを分析することで得られる、有益な情報を顧客や寄稿者に提供することにも力を入れています。顧客がビジネスチャンスをつかむためのヒントになったり、寄稿者のインスピレーションを刺激することができるデータを、我々は豊富に持っています」と金島氏。

Shutterstock上の3.5億にのぼるダウンロードデータを分析すれば、消費者(ユーザー)が最近、興味を持っていることは何か、彼らにとって重要なテーマとは何か、といったことを数値で可視化できる。そのデータは、企業にとっては効果的なマーケティング・コミュニケーション活動を実現するためのヒントになり、素材の寄稿者・アーティストにとっては、より多くの人に求められる写真・画像・動画をつくり出すためのヒントになる。

毎年発表している「クリエイティブ・トレンド」。2015年版からは、写真・画像だけでなく、動画や音楽素材も分析対象としている。

前述のダウンロードデータを活用し、2010年からは翌年のクリエイティブ・トレンドを予測する「クリエイティブ・トレンドレポート」を毎年発表している。写真や画像、動画といったビジュアル素材のトレンドを、インフォグラフィックの形でまとめており、グローバル共通の傾向のほか、世界各国・各地域に特有のトレンドも解説している。例えば2015年版では、世界的なトレンドとして次の3つを挙げる。

「背景ぼかし」

今年の広告やデザインでは、テキストの背景にレイヤー状のぼかしを入れるのが流行している。2014年の「ぼかし」の検索は144%上昇した。

「直線」

シンプルなデザインが引き続きトレンドとなっており、アウトラインタイプのアイコンやラインのスタイルが流行している。2014年、「アイコン」の検索は921%増加した。

「ユニークな視点」

2014年、「トップビュー(俯瞰)」の検索は66%増加した。ストーリーをより独創的な視点で表現できる方法を、クリエイターが模索していることを意味している。

同レポートのほか、ビジュアル・トレンドに関するトピックを発信する6カ国語対応のブログも運営しており、Shutterstockならではの情報を随時発信することで、顧客のファン化にも取り組んでいる。

「データ」と「テクノロジー」は、いま急成長を遂げている企業に共通するファクターだ。この2つを用いて、「人=寄稿者」のクリエイティビティを結集し、「人=ユーザー」が求める素材をスピーディーに届け、それを通じて得られたデータを「人=寄稿者・ユーザー」に還元していく。一見、無機質に思えるこの2つの要素を武器とする企業こそ、徹底的に「人」を重視した戦略をとり、いまの時代に求められる価値を提供し、成功を手にしている。Shutterstockは、その良例と言えるのではないだろうか。

データ活用は、もはやShutterstockのカルチャーと言っても過言ではない。現在のオフィス(エンパイアステートビルに入居)の場所を決めるにあたっては、全従業員の通勤経路をデータベース化し、従業員一人当たりの平均通勤時間を最も短縮できる場所を選んだ。さらに、約半年間で行われた会議のデータを分析して、オフィス内に必要な会議室の数を決めた。
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