登壇者
- 楽天楽天大学 学長 仲山 進也 氏
- きびだんご 代表取締役 松崎 良太 氏
クラウドファンディング型ECを運営する、きびだんごの松崎社長と、『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか』の著者である楽天の仲山氏が共創をテーマに対談を行った。
「あるECショップがリアルのイベントを開催。スタッフ募集にあたり、報酬を1日いくらにしたでしょうか?」楽天大学学長の仲山進也氏が出したこの問題の答えは、「スタッフになれる権を1万円で販売した」。
これは保護ネコ活動のイベントで、1万円の中にスタッフTシャツと打ち上げ費も含まれており、良かったら当日の運営も手伝ってほしい、と売り出した。そして15人が購入するに至っている。これは、きびだんごによるクラウドファンディングのプロジェクトの一例。
「クラウドファンディングとはアイデアが先にあり、これだけお金が集まったら実現できますと投げかける販売形態。保護ネコのプロジェクトは殺処分されているネコを減らすため、多くの人を巻き込もうと、クラウドファンディングの仕組みが使われています」ときびだんごの松崎良太社長は言う。
このプロジェクトのオーナーは、そのほかのプロジェクトもあわせ1000万円ぐらいの「支援買い」を集め、仲間を増やしているという。
仲山氏の考える「共創」は、顧客と商品を開発して売り出すといった類のものにとどまらず、「同じビジョンを共有して集まった人たちが、それぞれの強みを掛け合わせて新しい価値を生み出すこと」を指す。
この共創を考える時に役立つ視点が「静的コマース」と「動的コマース」だ。静的コマースとは、例えばネットショップでいうと自動販売機的な商品ページ。それに対し動的コマースは、クラウドファウンディングやオークションをはじめとした参加型の企画ページを指す。
「動的コマースは静的コマースに比べ、マネされにくい」と仲山氏。静的コマースが「検索する人」に買ってもらうスタイルであるのに対し、動的コマースの顧客像は何か面白いことはないかと「探索をする人」。参加する側もコストがかかるが、それを上回る楽しさというベネフィットがあると指摘する。
また顧客を増やす方法についても、静的コマースは「有名になる」だが、動的コマースの場合は「お客さんと遊ぶ」ことで仲間が増えていく。モノを売る静的コマースに対し、動的コマースは「楽しい」という価値を売っていて、結果として、モノが買われるという流れだ。
また仲山氏は、共創を考える要素として「4つのP」を提言。遊ぶ人「Player」、チームメイト「Partner」、面白いこと「Project」、哲学・理念「Philosophy」。うまくいっている共創にはこの4つの要素が含まれているという。
この考え方でいけば、競合や顧客もチームメイトになり、事業計画は面白いことに変わっていく。そしてメンバーが強みを活かす形で新しい価値が生まれていくのだ。
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