パルコの「個客」アプローチとアプリの進化

9月2日、3日に東京国際フォーラムで行われた「宣伝会議 プロモーション&クリエイティブフォーラム2015」。プロモーションやクリエイティブに関する企業講演やブース展示が行われたこのイベントには、2日間で6276人が来場。本コラムでは、その講演の一部を紹介する。

登壇者

  • パルコWEB/マーケティング部 部長 林 直孝 氏

いつでも、どこでもパーソナライズされた接客を─。ウェブやアプリを通じ、24時間買い物ができる仕組みを作ったパルコ。個客へのアプローチの施策について講演した。

全国に19のショッピングセンター「PARCO」を展開するパルコでは2014年5月から「カエルパルコ」を展開している。これはいわゆるECサイトではなく、「ウェブ接客」の進化形と位置づけるサービスだ。実店舗は営業時間などに制約があるが、ウェブならば店舗がない地域に住んでいても、真夜中でも早朝でも商品を見ることが出来る。

選んだ商品は店頭で実物を確認してから購入しても良いし、ネットショッピングのように自宅配送も可能だ。カエルパルコ受注の7~8割が店舗所在地以外の都道府県で、3~4割が営業時間外に行われている。まさに場所と時間を超えて接客しているといえるだろう。

カエルパルコで販売する商品情報への導線は各テナントのスタッフによるパルコショップブログだけではなくツイッターなどのSNSも積極的に活用する。パルコ広島店のあるテナントはバラエティ番組『アメトーーク』の広島カープ芸人の放送に合わせて広島店限定のカープコラボグッズをツイートし、県外からも大量の発注を受けた。

「こうした環境を用意することで全国に2万人以上在籍するのテナントスタッフが工夫し、今までは出来なかったような売り方をしてくれます。最初から我々にノウハウがあったわけではなく、学びながら横展開している状況」とWEB/マーケティング部 部長の林直孝氏は言う。スマートフォンアプリ「POCKET PARCO」も昨年よりスタートした。

パルコWEB/マーケティング部 部長 林 直孝 氏

「お客さまが登録した“よく行くパルコ”や閲覧履歴などを参照してレコメンドするブログを選定し、自動フィードする仕組みをとっています。よりパーソナルな情報を提供できるのがアプリの強みです」(林氏)。

例えば広島店の顧客に広島の他店情報を提供するのはよくある話だが、このアプリではブランド情報も紐づけるのが特徴だ。つまり広島のブランドAを利用している顧客にあえてブランドA仙台店のブログもフィードするのだが、仙台店の情報を見て広島で購入するといった事例が出ているという。林氏いわく「商圏を超えて他店のスタッフが接客をサポートするイメージ」だ。

アプリ利用を促すために、店舗訪問時のチェックインや、記事のクリップ(お気に入り登録)などに応じてコインが貯まるポイントシステムも用意した。購入したいものがあればボタン一つで「カエルパルコ」のページにアクセスできる。

「3月から5月の総クリップ数は45万件。クリップしたユーザーのうち48%のユーザーがチェックインし、その内76%が買い上げにつながりました。クリップ数と売上げには確かに相関関係があることが可視化されています」と林氏。ブログやアプリを通じ、よりパーソナルな接客、売上拡大につなげていきたい考えだ。

プロモーション& クリエイティブフォーラム2015
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