「宣伝会議」12月号(11月1日発売)に、ニューヨーク視察研修ツアーのレポートを掲載します。視察から見えてきた米国広告ビジネスの今、そして日本の広告界がめざすべき方向性を5つのキーワードで捉えます。こちらも、ぜひご覧ください。
(執筆者)
ブラン デザイン部 統括部長 松田 直也 氏
私が所属するのは、制作会社のグラフィック部門。デジタルの知識が非常に乏しい状態で本視察に参加した。
実際にいろいろな企業を視察して感じたものは一言、「危機感」だった。
NYの街を彩る圧倒的な数のデジタルサイネージ群、ビッグデータ利活用による戦略策定、モバイルビデオ広告の台頭など、デジタルフィールドの急速な進化を目の当たりにし、旧態依然とした紙メディアに固執している現状を一刻も早く打破しなくてはと、あらためて認識できたことは大きな収穫だった。
さらに、視察先企業のブランディング事例に、従来のマス広告アプローチのみならず、デジタルを活用したブランディングの好事例(かなりエッジの効いた事例も)が多かったことも印象的であった。
広告主がブランド広告費のウェイトをマスからデジタルに移行してきているのも事実だが、デジタル化によってさまざまなターゲットのニーズに合ったブランディング施策を継続的に行うことで、さらに顧客を拡大させることができるのだろう。
また、視察先企業のオフィスは、当然のようにクリエイティブなものばかりだった。随所に各社こだわりのレイアウトやスペースが設けられていたが、大抵のオフィスがパーテーションを設けず、オープンなレイアウトを採用していた。
「各部署の連携(チームワーク)」を重要視しているためである。ダイバーシティを標榜し、多様な人種や価値観、働き方を受け入れるための工夫をさまざまに行っている企業が多かったが、なかでもオフィス内のキッチンスペースやカフェスペースで“Face to Face”のコミュニケーションを促す空間づくりは大変興味深く、参考になった。
本視察で得たさまざまな「気づき」や「発見」を実務でも活かせるよう、スピーディに取り組んでいきたいと思う。