クリエイター支援によるヴィレヴァンの商品戦略

9月2日、3日に東京国際フォーラムで行われた「宣伝会議 プロモーション&クリエイティブフォーラム2015」。プロモーションやクリエイティブに関する企業講演やブース展示が行われたこのイベントには、2日間で6276人が来場。本コラムでは、その講演の一部を紹介する。

登壇者

  • ヴィレッジヴァンガード コーポレーションマーケティング本部 営業企画部 部長 加藤祐貴 氏

いつ店舗に行っても、独創的な新商品が並ぶヴィレッジヴァンガード。それを可能にしている次世代商品戦略について明かす。

1986年に創業し、「遊べる本屋」というコンセプトのもと、いまや全国に400店舗以上を展開しているヴィレッジヴァンガード。

路面店舗ではサブカル層、ショッピングセンター店舗ではファミリー層向けの商品を置くといったターゲットセグメントごとに施策を展開することで、最近の売上は順調に推移している。

ヴィレッジヴァンガード コーポレーションマーケティング本部 営業企画部 部長 加藤祐貴 氏

ただ、「他にない売り場で“新しい発見”を創出する」という同社のこだわりのもと、新たな柱を創出しようとしている。それが、どこにもない新しい発想の商品を見つける、作ることを目的としたクリエイター支援だ。具体的には、社外商品コンペである「雑貨大賞」と社内商品コンペ「天下一商品企画武道会」を開催すること。

2014年冬に行われた第1回の「雑貨大賞」「天下一商品企画武道会」では、「スライムカレー」のアイデアなどがグランプリを獲得し、実際に商品化された。アイデアの奇抜さからメディアで取り上げられる商品や、売り切れになるほど人気が出る商品も多い。

また、ヴィレッジヴァンガードオンラインストア内に「クリエイターズストア」を開設し、クリエイターのハンドメイド雑貨を販売。巨大な蜘蛛が耳を貫通しているように見えるアクセサリーなど、こちらもインパクトのある人気商品が多く、開設して数年ではあるが前年比300%の売上を記録するなど好調だ。

クリエイターにとっても自身の作品を世に出すことができる貴重な機会となっており、同ストアに登録しているクリエイターは現在100人を超えている。社内、社外コンペ、クリエイターズストアなどによって、ヴィレッジヴァンガードらしい個性的な商品を次々と生み出す体制が強化されているのだ。

そして、同社では「雑貨大賞」や「クリエイターズストア」「ストアイベント」といった魅力的なコンテンツの認知度をより高めるための施策も進めている。例えば、会員制のアプリだ。リアル店舗の来店客に対して、アプリ会員になるように促し、アプリを通じて各コンテンツの情報を流す。それによって、リアル店舗に来ただけではわかりにくい各コンテンツ情報を的確に伝えることができる。また、アプリからは同社のECサイトへも飛ぶことができ、ECサイト限定商品の認知も高めていく。

ECの限定商品はトライアル販売の位置づけで、個性的な商品をリアル店舗で販売するかどうかの試金石になる。ヴィレッジヴァンガードに、より個性的でより人気の出る商品を置くための施策も着々と進んでいるのだ。

プロモーション& クリエイティブフォーラム2015
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