ストーリー性を持つダイレクトマーケティング
日本からのエントリーでは3社が受賞した。UPSPゴールドメールボックス賞も受賞したトッパンフォームズの「体験型BtoB DMキャンペーン~全ては受け手の笑顔のために」はシルバー賞。
フュージョンの「Go on a Journey of sweets passport」はブロンズ賞。優良顧客向けに優待特典をお知らせするDMで、エアメールを連想させる封筒の中にパスポートのような小冊子が入っている。さらに送料無料特典の付与やバースデー特典の設定なども行った。
ダイレクトマーケティングゼロの「You’re The Heroine!」はリーダー賞を受賞。スキンケアブランドの定期購入会員向けに、人気漫画家の手による各顧客にパーソナライズした漫画を送付したものだ。Webでの告知など多チャンネルでプロモーションを展開した。
受賞作品や展示会「&THEN」の出展ブースを見ていて感じたのは、世界(特に米国)と日本のタイムラグはほとんどないということ。十数年前に米国を訪れた時には、日本は1~2年遅れていると感じたものだ。しかし今回見て回ったかぎりでは、あらゆる情報はほぼリアルタイムに日本に入ってきているな、と感じた。
DMA国際エコー賞アンバサダーである日本郵便・谷田貝正人氏も、日本のDMについて「2年連続で日本から応募された作品に「USPSゴールドメールボックス賞」が与えられたことは、日本のマーケティング力が世界でも評価されていることの証明であり、特にB2BにおけるDM活用はリードジェネレーションから使うことができ、効力を発揮している」と分析する。さらに「人の心を動かすのはストーリーテリングであり、人が人に伝えたくなるストーリー性がこれらの受賞DMにはしっかりと埋め込まれていた」と受賞作品を評価している。
ここ10年でデジタル化が一気に進んだ。デジタルとの組み合わせで何ができるかを模索する動きは当然ながら今後も続くだろう。その上で、谷田貝氏がいうストーリー性をどう生み出すか。企業側からのロジックではなく、受け取った人の立場で考えようというところから戦略やストーリーテリングがスタートしていく。そのためには、データを使って生活者ひとりひとりを理解し、さらにその精度を上げていく。今後は、こうしたデータドリブンのダイレクトマーケティングがますます進化していくのではないだろうか。