スピーディーな対応に求められる組織間の連携
加藤 IMJは広告事業をやってないこともあり、CRM軸でのデータマネジメントプラットフォーム構築・活用の相談を受けることが多いです。
とはいえ、いきなり大きな投資をするのは難しいケースが多く、小さな成功体験を作りつつ予算を確保してもらうことに重きを置いています。同時に、経営層にOne to Oneを実現できた時のイメージを持ってもらい、コミットメントを引き出すことも重要と考えますが、どうでしょうか。
笹 ITの部署の方々の意識改革も重要だと思います。マーケティングソリューションの構築においては常に変化していく顧客体験に合わせるスピード感が必要で、設計は走りながら考えるという状況です。
そのあたり、ITの基幹業務に携わる人との意識の差がまだまだ生じてしまっていますね。
加藤 だからこそマーケティング部門とIT部門の連携においては、我々のような外部の人間が、それぞれの専門用語を使わず分かりやすく説明するなど、コミュニケーションの工夫が必要です。
笹 そこで当社は、直接支援するグローバル企業向けに「MC@(エムシーアット)」という常駐型支援を始めました。一般的に、外資系ソリューションベンダーはあまりクライアント企業に常駐しないのですが、MC@でクライアント企業に常駐し、企業内の組織やデータの整備、キャンペーン施策の運用を支援しています。
ただ、お客さまのことを一番よく知っているのはクライアント企業ですから、そのサポートであるという役割を忘れずにいることは大切です。
加藤 組織間の連携は内部事情も理解しながら進める必要があるので、常駐型支援が向いていると思います。
また、当社は「クリエイティブ」「データ」「マーケティングテクノロジー」これら3つのサービスを、総合的に価値提供するために、今年の4月からこれまでバラバラになっていた組織の融合を進めています。
笹 なるほど。基幹業務系に強いシステムインテグレーターは、デジタルマーケティングを全体的に支援できる人材が非常に少ないので、パートナーであるIMJさんが企業の要望に沿った形でフレキシブルに提案できる体制を整えていることは心強いですね。
当社は今年4月からソーシャルの広告にダイレクトにターゲティングできるようになり、facebookとTwitterに加え、この秋にはInstagramにもつながります。当社の分析では、facebookの広告にEメールと同じメッセージが出ると約26%コンバージョンが上がるという結果が出ています。
生活者の情報接点と、その時の状況に合わせて適切なメッセージを伝えることの重要性が一層増していくと思います。
加藤 今や、クライアントのビジネス課題を解決するためには「クリエイティブ」「データ」「マーケティングテクノロジー」の三位一体が必須と考えています。
笹 そういう意味でも、IMJさんとのパートナーシップは大切にしたいと思います。我々の目標は、顧客接点の改革をクラウドプラットフォームで実現して、お客さまにイノベーティブなビジネスプロセスを提供することです。
まだ準備段階ですが、当社のすべてのクラウドをきっちり連携させて一気通貫で使っていただけるようになれば、唯一無二のベンダーになるでしょう。
加藤デジタルの力によって、昔ながらの商店のような、顧客一人ひとりを熟知した「おもてなしのサービス」が新しい形で実現できると思っています。
編集協力:アイ・エム・ジェイ