「そこまでやるの?」の連続 妥協せずにやり抜いた
8分の1のグランサイファーのサイズは長さ25メートル、高さ約9メートル。実現の最大のネックは、前例のないこの大きさだった。会場の制約により、高さ6メートルより上の部分はバルーンで、下は造作物としなければならない。質感の違いを極力出さないように、「元のデザインをなるべく壊さず、できる限り精 緻に作る」(JIROさん)方針で作り込んでいった。
事前にゲームショウの会場である幕張メッセを貸し切り、実際に仮組みするなど念には念を入れ、理想の形に近づけていった。
シアターは、当初は壁面と天井をスクリーンにする予定だったが、「天井からシャンデリアを下げるなど、シアター内の空間演出にもこだわりたい」(studioTED吉田さん)という理由から、壁面と床をスクリーンにすることにした。高さの表現は、空の映像が観客の足元にある方が強く感じられるという吉田さんの経験知による判断だった。
映像は3つのカメラを使い、近景と遠景を別々に制作し合成することで奥行きと立体感をさらに強めている。また、手書きイラストの世界観を大切に、3DCGに手書きのテクスチャーを取り入れている。
丹青社チームは、ブース全体の図面設計と導線設計、およびシアターの建物や壁など造作物を担当した。
「ゲーム内の背景を描いている担当さんと一緒に進めていったのですが、Cygamesの皆さんの生半可でないこだわりに、グレードが異常に上がっていって…。例えば、こういった展示会では通常、壁のテクスチャーはプリントしたものを貼りますが、今回はCygamesの希望で凹凸をつけ、さらに風化加工もしています。壁の色も『床に近いところは風化して白っぽくなる』という指摘を受け、実は下だけ色を変えているんです」(田中さん)。
取材の中で、チームメンバーは口を揃えて「そこまでやるの?と戸惑った」と話した。
何度も壁にぶつかりながらも、そのたびに妥協せずに乗り越えていった。それによって、結果的にアウトプットがよくなったというのも、一致して聞かれた意見だ。
クライアントの熱量に呼応してチームの熱量が上がっていった
二宮さんはプロジェクトを振り返り、「チーム全体に『クライアントの熱量についていこう』という気持ちがあった。だからこの人たちを超えるものを出したいというモチベーションで取り組むことができたのだと思います」と話す。
クライアントであるCygamesの春田さんがある時、「東京ゲームショウは最近『ショー』じゃなくなっていると感じる。でも、僕たちのブースはショーにしよう」と話したことがあったという。
クライアントが大きな舞台を用意し、関ブレーキをかけることなく、力を存分に出し切った。それが、この前例のないブースが実現した一番の理由ではないだろうか。わるメンバー全員がものづくりへの熱意にブレーキをかけることなく、力を存分に出し切った。それが、この前例のないブースが実現した一番の理由ではないだろうか。
スタッフリスト
- 企画制作
- CyberAgent+自由廊+丹青社+Studio TED
- 企画
- 二宮功太、日高勇太、吉田敦
- CD
- JIRO、田中啓介、吉田貴行
- PR
- 前文章、久保慎太郎、藤原沙織、土屋竜一
- D
- 伊藤佑子
- AE
- 高橋史将、越久敬人