NPOが信頼とファンを得る“共感メッセージ”のつくり方

NPOをはじめとする非営利組織の最大の課題であるマーケティング・コミュニケーションは、どのように実践されるべきか。3人のプロたちが、具体的かつ実践的な手法をリレー形式で紹介する本コラム。第3回は、長年シャンティ国際ボランティア会で広報を担う鎌倉幸子氏が、“共感メッセージ”のつくり方を紹介します。

共感って、広報の基本だと思う

「活動に共感してもらってファンドレイジング(資金調達)につなげたい」。そんな思いはNPOのみならず、企業や団体など、あらゆるセクターに共通することでしょう。

一昔前は町内会で募金集めが行われていました。もちろん寄付先の活動に“共感”して封筒に、募金箱にお金を入れた人もいるでしょう。同時に、“強制”されたと感じた人もいたのではないでしょうか。いまは、そのような募金活動は下火な気がしています。

インターネット上で実行したいプロジェクトが紹介され、その実行者の思いや活動内容に共感した人が寄付をするクラウドファンディングなどの新しい支援の形も生まれています。

それまでは町内=コミュニティだったものが、インターネットの台頭で、ブログなどを活用すれば誰でもが活動をアピールできるようになりました。そしてSNSを通じて、いま自分がいる「場」を越えて、関心がある情報を入手したり、同じ思いを持った人とつながれる世界になったのです。

“強制”されづらくなった環境で、人が動くか否かのカギは“共感”です。

35年間アジアに絵本を届ける活動をしているシャンティは日本で本が好きな人、本に関わってくれる人にファンになってもらいたいと「本の力を、生きる力に。」というキャッチコピーをつくり、特設サイトを立ち上げている。

さて前置きはここまでにして、一度おさらいです。そもそも広報とは何でしょうか?『広報・パブリックリレーションズ入門』(猪狩誠也著/宣伝会議)ではこう定義されています。

広報・パブリックリレーションズは、組織とそれを取り巻く人々・集団との関係を円滑にし、お互いが信頼できる関係をつくり、維持する考え方であり、技術である。

ステークホルダーと信頼できる関係をつくり、それを維持してもらえるかは、その組織(NPOでも企業でも)を理解してもらえるか、共感をしてもらえるかではないでしょうか。

次ページ 「ACTIONフレームワークにおいて考えてみよう」へ続く

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マーケティング コミュニケーション実践論
マーケティング コミュニケーション実践論

■井出留美
office 3.11 代表取締役
青年海外協力隊時代に手書きで配信した「パル通信」、1305号配信した「広報室ニュースレター」など情報発信力が強み。NPOを様々な賞へ導いた実績や企業・NPOの広報室長などの経験を持つ。わかりやすい講演が好評、全国からの依頼は330回。外資系企業管理職から震災を機に退職、起業。メディア出演170回。博士(栄養学)。東京大学農学系(農学部・農学生命科学研究科)広報室会議オブザーバー。


■長浜洋二
PubliCo 代表取締役CEO
かわさき市民しきん評議員/シャンティ国際ボランティア会戦略アドバイザー/NPO法人CRファクトリー コミュニティ・マネジメント・ラボフェロー
1969年山口県生まれ。米国ピッツバーグ大学公共政策大学院(公共経営学修士号)卒。NTT、マツダ、富士通でマーケティング業務に携わる一方、米国の非営利シンクタンクにて個人情報保護に関する法制度の調査・研究、ファンドレイジング、ロビイングなどの経験を持つ。著書に『NPOのためのマーケティング講座』。

■鎌倉幸子
(シャンティ国際ボランティア会 広報課長補佐/認定ファンドレイザー)
青森県弘前市生まれ。アメリカ・ヴァーモント州にあるSchool for International Trainingで異文化経営学の修士号を取得。1999年、シャンティ国際ボランティア会にカンボジア事務所図書館事業課コーディネーターとして現地赴任。2011年に同団体の広報課に異動。広報の仕事と兼務しながら東日本大震災後、岩手県での移動図書館プロジェクトの立ち上げを行なう。著書に『走れ!移動図書館』(ちくまプリマー新書)。

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office 3.11 代表取締役
青年海外協力隊時代に手書きで配信した「パル通信」、1305号配信した「広報室ニュースレター」など情報発信力が強み。NPOを様々な賞へ導いた実績や企業・NPOの広報室長などの経験を持つ。わかりやすい講演が好評、全国からの依頼は330回。外資系企業管理職から震災を機に退職、起業。メディア出演170回。博士(栄養学)。東京大学農学系(農学部・農学生命科学研究科)広報室会議オブザーバー。


■長浜洋二
PubliCo 代表取締役CEO
かわさき市民しきん評議員/シャンティ国際ボランティア会戦略アドバイザー/NPO法人CRファクトリー コミュニティ・マネジメント・ラボフェロー
1969年山口県生まれ。米国ピッツバーグ大学公共政策大学院(公共経営学修士号)卒。NTT、マツダ、富士通でマーケティング業務に携わる一方、米国の非営利シンクタンクにて個人情報保護に関する法制度の調査・研究、ファンドレイジング、ロビイングなどの経験を持つ。著書に『NPOのためのマーケティング講座』。

■鎌倉幸子
(シャンティ国際ボランティア会 広報課長補佐/認定ファンドレイザー)
青森県弘前市生まれ。アメリカ・ヴァーモント州にあるSchool for International Trainingで異文化経営学の修士号を取得。1999年、シャンティ国際ボランティア会にカンボジア事務所図書館事業課コーディネーターとして現地赴任。2011年に同団体の広報課に異動。広報の仕事と兼務しながら東日本大震災後、岩手県での移動図書館プロジェクトの立ち上げを行なう。著書に『走れ!移動図書館』(ちくまプリマー新書)。

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