2.ファイナンシャルプランニングモデルの構築が必須
「広告のROIをベースに過去を振り返るのではなく、これからは未来を予想することが重要になる。顧客の企業にとっての財務的価値をきちんと計測し、それを向上させることを目標とするべきだ。顧客価値を測定し、顧客を企業に収益をもたらす存在と捉え、広告費などのコストを管理するのでは無く、これからは顧客の収入フローを測定・管理しなければならない。費用の支出と考えるのではなく、内部収益率(IRR)を高めるための投資と考えるべきだ」
「これからはビジネスモデル自体も根本から見直さなければならない。現在のサプライチェーンは売り込みをベースとしたモデルになっている。だから製品が余ると値下げする羽目になる。マーケティングのファネルは、企業が顧客を説得・洗脳できる前提になっている。だがデジタル化された顧客は洗脳できない。だからこそ、これからは顧客を中心にしたデマンドチェーンのモデルにすべき。『製品』から議論を始めるのではなく『顧客の問題』から議論を始めるべきだ」
「広告の露出も、メディアの配信量だけを見るのでは無く、実際にそのメディアが視聴者によって見られているのか、メディアの消費量も見るべきだ」
ファイナンシャルプランニングモデルというと、自分には関係ない話だと受け止められるマーケティング関係者の方も多いかもしれません。要はマーケティングのプランニングモデルを財務的見地から投資対効果を予測するようにしていくべき、というのがシュルツ教授の提言でした。
象徴的なのが下記のスライドです。
総顧客に対するブランド顧客数×年間の顧客価値×購入時のシェア×利益率
という計算により顧客の企業にとっての財務的価値を求め、それを元にマーケティング投資の効果測定をIRRを元に予測すべきと言う講義は、本当に財務の授業を受けている錯覚を受けるぐらい具体的なものでした。
正直、このレベルの計算は売上にコミットしているトップレベルでやらないと意味が無く、現場の担当者からすると厳しいな、と思ってしまいましたが、結局最終的な投資対効果で見なければ細かい表面上の数値だけを見ていても意味が無いということかなとも感じます。