未来の姿を表現したEC
——今回のプロジェクトはどのように進んでいったのですか。
河野:ECサイトの制作にあたり、まずは梅林堂の社員の方々に話を伺いました。話を聞くと、皆さんから「おいしいお菓子をつくっている!」という強い自信を感じました。でも、そのおいしさのためにしている努力や工夫は「わざわざお客さまに言うほどのことではない」と思っている方が多かった。
けれども僕らの目には、独自の考え方を持って続けられてきた梅林堂さんのお菓子づくりは、素晴らしく魅力的なものに見えたんです。もっと誇られるべきものだと思った。ここでブランディングの方向性が見えてきました。
松岡:その後、見えてきた方向性を具体化するため、ブランディングの核となるキーワードとビジュアルイメージを固めました。
清水:ここで提案いただいた「滋・朗・倫」というキーワードには、社長も納得していました。最初に目指すべき方向性を共有できたので、プロジェクトも順調に進んだと思います。
松岡:梅林堂のお菓子づくりやお菓子そのものの原点・基盤を表す「滋」、梅林堂のお菓子を食べた時に感じるワクワクする気持ちを表す「朗」、相手に心を馳せ、本当に喜んでもらいたいという想いを込めて贈られる、梅林堂のお菓子の在り方を表す「倫」の3つをまとめて「滋・朗・倫(ジロウリン)」。これらは梅林堂さんを表現するキーワードとして、梅林堂さん社内にまで定着していきました。
城島:実はサイトデザインについては、一番初めの提案から決定案までは、かなりの変化を経ているんです。私は最初、「今の梅林堂」を、それまでとは違いつつも梅林堂さんらしく見せられるような表現をするという方向でデザインしていたのですが、社長そして清水さんから「サイトをリニューアルすると同時に現在より先を行きたい、これからの梅林堂を出したい」と言われて。
清水:そうでしたね。私も最初は驚いたのですが、社長が次々とアイデアを思いついて実行していくんです。未来を見ている会社だと思います。
河野:その後、梅林堂のお菓子づくりに対するこだわりを伝えるためには、サイトも単なる商品紹介ではなく、背景にあるストーリーを読み物として伝える必要があるという話になりました。
清水:私たちは商品の良さは、実際に食べてもらうことでしか伝わらないと考えていました。お菓子づくりの技を磨き、おいしい商品をつくり続けていれば、必ずお客さまに気づいていただける、と。しかし今回、工場などを取材した読み物記事を制作してみて「こういう接点からも、私たちのこだわりを知っていただくことができるのだ」とわかりました。そして私たちが当たり前だと思っていたお菓子づくりに対するこだわりが、実は他社には真似できないようなことなのだとも気づきました。
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