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“挑戦”という伝統と革新
栗山米菓は、1947年創業の老舗米菓メーカー。今年で設立67年目を迎えた。29年前に星型せんべい「星たべよ」、25年前に「ばかうけ」(青のり)を発売。せんべいと言えば「丸い・硬い・醤油味」が当たり前、商品名も「◯◯せんべい」「越後の◯◯」などがスタンダード、という常識を打ち破り、個性的なネーミング、これまでにない食感・形状、キャラクターを用いたパッケージデザインなど、伝統菓子の枠に捉われない、他にない商品・ブランドづくりを重ねてきた。
「大手をはじめ、他社がやりたがらない」こと。それこそが、栗山米菓が真価を発揮する場所だ。例えば主力商品「ばかうけ」は、これまでに150種類を超えるフレーバーを展開してきたが、2~3カ月という短期間でしか販売しない限定商品の開発・販売は、多くのメーカーが敬遠する。大変な労力がかかるし、小売からの受注数の予想が難しいからだ。さらに「ばかうけ」は5種類のフレーバーのアソート商品が顧客から支持を得ているが、5種類を一つの袋に梱包するのは非常に手間がかかるため、これも敬遠する企業が多い。そういう商品を、同社では工場の設備投資や効率化を図ることで実現している。
創業60周年を迎えた2007年には、コーポレートブランド「Befco(ベフコ)」を発表。Beika(ベイカ)、Frontier(フロンティア)、Company(カンパニー)の頭文字で構成されており、そのコンセプトは「新しい試みに挑戦する精神をコーポレートブランドとして設定することで、米菓という原点を大切にしながらも自らの力でその領域を超えていく、躍動感あふれる企業を目指す」というものだ。マーケティングを担当する経営企画部部長の本間勉氏は「米菓という領域に軸を置き、従来の枠に捉われない新しい挑戦をする会社。それが栗山米菓のカルチャーだと位置づけています。あられ・おせんべいのカテゴリーと、異なる食品カテゴリーとの境界領域(フロンティア)で新しい価値を創造していこうと。ロゴの下に“たのしい・おいしい・あたらしい”というステートメントが記されていますが、これは栗山米菓の商品づくりだけでなく、当社のあらゆる企業活動の原点です。商品開発でもプロモーション企画でも、『それって楽しいの?美味しいの?新しいの?』を問われますし、常に自問してもいます」。
本間氏が率いる経営企画部は、新潟本社ではなく、東京本社・営業本部に設置されており、メンバー9人でマーケティング・人事・輸出・CVS営業を統括。これらの業務は栗山敏昭社長の直轄であるため、トップの承認をとったり、トップの意思をチームに浸透させるスピードがとにかく速い。同部門を筆頭に、同社では、アイデア発想を促すような情報がオープンに共有され、アイデアを複数人の視点でブラッシュアップし、形にしていけるようなコミュニケーションが行われる環境が整っている。アイデアを一人で考えて、一人で形にすることは少なく、他の社員のアイデアとつなげながら形にしていくケースのほうが多いという。
「例えば、商品開発部門で雑穀・おからとせんべいを練り合わせた商品の開発を進めていると聞いて、違う部署の社員が『最近タニタ食堂の方と会って名刺交換をした』と伝えたところ、タニタ食堂監修のヘルシー米菓の発売に結実しました」(本間氏)。
本間 勉(ほんま・つとむ)
栗山米菓 執行役員 経営企画部部長
2000年4月に栗山米菓入社。営業にて大手量販店、CVSをメインに担当した後、特殊ルートの企画・営業担当を経て、2009年よりマーケティングをCVS営業も兼任。2012年からはマーケティング、人事、CVS、輸出を兼任。2015年より現職。
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