マーケティング活動を棚卸し再設計する
BtoB企業はマーケティング活動を行っていないわけではない。一般消費材のような派手さはないが、新規顧客の開拓活動を現実世界で地道に・実直に行っている企業がほとんどだ。ただ、活動自体が一過性となっているケースや、「案件確度の高い顧客の刈り取り」目的に走り、それぞれの活動自体は顧客接点の一つ、という考えが不足している。
例えば、展示会で初めて名刺交換した相手に対し、「今すぐ客」は即フォローするが、契約に至るまで「まだまだ客」や「そのうち客」に対しての中長期間の関係醸成を、営業部隊(人海戦術)だけでフォローするには限界がある。このように案件や契約に繋がるか未知数のグレーゾーン層は社内に多く存在するだろう。
一方で、マーケティング担当者は過去実施してきた活動結果の経験則を必ず持っている。展示会は「○小間ブースの場合は○千枚の名刺が獲得でき、獲得単価は○千円。顧客対象となるのは約○%、提案訪問に○%、□か月以内に○案件○千万受注できれば、年度内で展示会費を回収できる」という具合だ。
新規獲得のアウトバンドコールを外注している場合は、「ターゲット企業○千件のコールのうち、担当者まで繋がるのが○%、資料送付許可が○%、相談や案件に繋がるのは○%、コール単価は○万円」。このような経験則はメール定期レターやWebマーケティングでもあるだろう。
しかし「商談には至らなかったが半年後に検討を再開し受注に至った割合は?」と聞くと答えられない。つまりマーケティング活動を単体施策で見ている弊害はここにある。組織(機能)ミッションとして見る必要がない、測る仕組みがない、営業接触状況まで分からないなど理由はあるが、顧客のマインドに立ち返ってマーケティング活動を計画しよう。それには社内のマーケティング関連業務に携わっている担当者を一同に集め、過去のマーケティング活動の棚卸しと、担当者が暗黙知で持っている経験則の共有、さらには今後のマーケティング戦略と活動の再設計を行おう。
(※上島氏の連載は、本誌第6号に続きます。次回は「顧客内の意思決定プロセスとは」です)
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