“参加型”には仕掛けが必要
とは言え、メッセージを発するだけでは人は動かない。つい動きたくなるような、参加したくなるような、見に行きたくなるような仕掛けが必要です。その仕掛けとして、主に次の3つを用意しました。①「WE SCHOOL」:自ら街をつくる市民プロデューサーを育成する学校。プロジェクトの立ち上げ方から運営方法まで、実践的なカリキュラムを提供する。②「WE STUDIO」:WE SCHOOLで学んだ市民プロデューサーが、仙台を盛り上げるためのプロジェクトを具体的に生み出し、実践していくスタジオキット。③「WE TUBE」:東西線13駅の地上に設置されたデジタルサイネージ。WE STUDIOで生まれたプロジェクトやイベントを共有し、市民の参加を促すメディア。
開業プロジェクトの期間中はもちろん、開業後の自発的な市民活動が行われることを見据えた仕掛けづくりです。
12月6日の地下鉄東西線開業を目前に控え、11月22日には開業イベント第1弾「WE STAGE」を開催しました。地下鉄東西線13駅をステージに、走る車両を客席に見立てたイベントで、路線の端から端まで地下鉄に乗りながら、各駅のホームや駅構内で、さまざまなエンタテインメントが体験できるというもの。国際センター駅と荒井駅の二つの地上駅にも特設ステージを設置し、市民による音楽やダンスなどのパフォーマンスを行いました。ゲストとして著名人も招きましたが、基本的には観客もパフォーマーも全員市民というのがユニークなところです。
100万人以上の仙台市民を巻き込んで街づくりをするというのは無論、簡単なことではありません。多くの人を動かすためには、人間の本質的な欲求をくすぐるような仕掛けが必要だからです。その仕掛けを考えることが、アウトプットを考え、つくること以上に、クリエイターに求められるようになってきていると思います。
志伯 健太郎(しはく・けんたろう)
GLIDER クリエイティブ・ディレクター、CMプランナー
電通、72andSunny, W+Kを経て2011年、建築家、ファッションデザイナー、社会起業家、アロマセラピストからなるクリエイティブブティックGLIDERを設立。主な仕事に、DODA「名言」シリーズ、JINS MEME、au「驚きを、常識に」、仙台市地下鉄東西線「WE」、Levi’s「GO FORTH」、FIFA CWCオフィシャルトレーラー、かんぽ生命「人生は、夢だらけ」など。
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