株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
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これまでの事業の延長線にないからこそ
新しいことに飛び込める
セレクトショップなどでここ数年よく見かけるようになったのが、珪藻土(けいそうど)を用いた吸水性・吸湿性のあるバス・キッチングッズ。これらを手がけているのが、左官業として200年以上の歴史を持つイスルギが設立したsoilだ。soilはもともと、イスルギの新規事業として生まれた珪藻土グッズブランドだったが、2015年の5月に別会社となった。
そもそも、左官業だったイスルギが、なぜこのような事業を立ち上げるに至ったのか。soilの代表取締役・石動博一氏は、「景気に関係なく安定的に仕事を得ることが出発点」と話す。「左官はゼネコンから仕事を請け負うので、仕事の有無は建築需要に左右されます。しかし、本当のお客さまである、建築物を建てる人に直接営業しようと思っても、実際はなかなか難しい。そこでまず、左官の仕上げにはさまざまなパターンがあることを知ってもらうために、『左官アート』をつくってカタログ化。そうしているうちに、左官職人の技術を使って、直接エンドユーザーに届く『モノづくり』をしたい、と考えるようになりました」。
その後、2008年に、デザイナーと石川県内のものづくり企業とをマッチングさせて新商品を開発するプロジェクトに参加。そこで、ブランドコンサルティングを手がけるアッシュコンセプトの代表取締役であり、その後の事業パートナーである名児耶秀美(なごやひでよし)氏に出会った。プロジェクトを進める中で、現在のsoilの主力商品になっている珪藻土のコースターなど、左官の技術を使った商品のアイデアが出てきたという。プロジェクトが終わりに近づくころ、「もし本気でものづくりとブランディングをやりたいなら、デザインも販売も我々が手伝うので一緒にやろう」と声をかけてもらったことから、soilの事業が始まった。「我々も、左官アートの事業を通じて、販売がいかに難しいかを痛感していました。だからこそ『販売を手伝う』という言葉が一番響きました」と石動社長は話す。
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