ラインナップを揃えたことが転機に 増産体制により売上アップ
2009年から事業を立ち上げたものの、商品を世の中に周知するには時間がかかった。「とにかく『これは何ですか』と言われることが多かった。珪藻土のバスマットも、最初は『まな板ですか?』と言われたくらいです。売ってもらえるまでに3年くらいかかりました」と石動氏。
そうした中で転機となったのが、「水回り商品をたくさんつくってラインナップを揃え、店頭にsoilコーナーを設けて売る」というアイデア。それぞれの売り場では商品理解も難しく存在感を発揮しにくいため、まとめて「珪藻土の水回りブランド」として確立させようとしたのだ。また、この商品自体、金型を必要としないので、開発に大きなコストがかからなかったことも幸いした。原型をシリコンで型を取って、そこに珪藻土を入れて左官のコテでならして乾かせばつくれるだけに、量産できないものの、ラインナップをそろえるのは比較的容易だったのだ。
この売り方を始めたところ、最初にバスマットが注目を集めてたくさんのメディアに取り上げられ、爆発的に売れるようになった。一方で今度は別の問題が立ち上がる。手づくりで量産できないため、生産が追い付かなくなったのだ。
石動 博一(いするぎ・ひろいち)
soil 代表取締役社長
1960年石川県金沢市生まれ。 専修大学商学部卒業。江戸時代から続く「左官」業を営む家業のかたわら、左官の魅力をより多くの人に知ってもらうため、左官技術と左官材料で造るインテリア雑貨「soil(ソイル)」の企画販売にも精力的に取り組む。
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