「その言葉がない世界とある世界で、一体何が変わったのか」谷山雅計・尾形真理子対談

セミナー参加者からの質問

Q:本の中で、「なにかを“解決”しているように見えないコピー」について解説されています。そこで書かれている「広告全体で解決をするコピー」や「長期的な解決を目指すコピー」を考えるのが難しいのですが、どうすればよいでしょう。

A:尾形:谷山さんの本でも「長期的な解決を目指すコピー」として紹介されていましたが、ルミネのコピーの事例でお話しします。実は、ルミネに入っているお店は、ルミネだけにあるお店ではなく、独自で路面店があったり、他の百貨店にもあったりするんです。だから、他の場所ではなく「ルミネで買う理由」をどうつくるか、ということを課題として捉えています。そのため、女の子たちの気持ちに一番近い存在になることを一番の目標に掲げているんです。この目標を達成するには1回の広告や、ひとつのコピーではなかなか実現できません。だから、女の子の気持ちに寄り添うようなコピーを量と時間をかけて掲出し、長期間で課題を解決するクリエイティブを提案しているんですね。

谷山:いまあなたは、世の中のコピーは“解決”ではないコピーばかりに見えているのかもしれません。と思います。でも、経験を積むと、このコピーも、あのコピーも、様々な角度から物事を解決しているんだな、ということが分かります。逆に、そういうことを考えながらコピーを見ていくと、自分の成長につながると思いますよ。

Q:さきほど尾形さんは「自分はコピーを書いたと思えるようになるまで8年くらいかかった」とお話しされていましたが、コピーライターとして一皮むけたとき、どういうことがあったのか?

A:尾形:「自分だったら買わない」と思っていた商品を担当したときに「ああ、これは私が変わるような提案をしなければいけない」と実感したときですね。これは、すべての商品に対しても同じだと気づいたんです。本にも書いてありますが、コピーライターの成長は右肩上がりではなく、なにかに気づいて少し昇ったら踊り場、またなにかに気づいて少し昇ったら踊り場、という感覚なんです。ただ、そういった気づきを得るためには、常にもがいて、もっと上手くなりたい、いまより役に立ちたい、という想いを持ち続けることが大切なんだと思います。

谷山:そういう気づきのきっかけになればと思って、このような本で「考えるトレーニングの方法」を書いているつもりです。コピーを書くときに、もがいた量が、後で効いてくると思いますよ。

ひとつの質問に対して二人から丁寧な回答が続いたこともあり、セミナーは30分延長して2時間にも及んだ。さらにセミナー終了後には、個別の質問者と著書にサインを求める参加者で行列ができるほどの盛況だった。


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