資生堂が挑むデータドリブンカルチャーの醸成

マーケターに求められるのは愚直さ

同社では2015年から、APIを通じて利用者とメッセージの送受信を行えるLINEビジネスコネクトも開始。ワタシプラスのLINE公式アカウント友だち数は1900万ユーザーを超え、その数は年々増加している。ビジネスコネクトにより、LINE上で一人ひとりに合ったコンテンツを、最適なタイミングとチャネルで提供することが可能になった。

しかし、テクノロジーを活用することで、すべてがうまくいくわけではない。そこで問われるのがマーケターとしての仮説設定力と検証作業を繰り返す愚直さだ。「施策を行った際、思ったような効果が出なかったとすれば、そこには必ず理由がある。結果の背後にあるものを考えることこそがマーケターとしての役割であり、そうした仮説と検証を繰り返す愚直さが重要」と徳丸氏は強調する。

今後、さらなるパーソナライズが進むなかで、どのようなマーケティングが求められるのか。両氏は次のように語る。

「現状のレコメンドがユーザーのニーズを本当に満たしているかというと、個人的にはまだまだできていない部分が多いと思っている。本来的にはテクノロジーが進化するほど、メーカーは生活者にもっと楽しい生活をサービスとして提供できるようになるはず」(徳丸氏)、「多くの企業がテクノロジーを活用した結果、たとえば商店街を通ったらすべての店舗からプッシュ通知がきてしまうことになれば、顧客にとっては迷惑でしかない。だからこそ、ユーザーフレンドリーで、“適切な”コミュニケーションが必要だと思う」(山崎氏)。

『宣伝会議』2016年1月号

12月1日発売 定価1300円

巻頭特集 マーケティング・テクノロジーの未来

いまや企業活動の全体像をも変えようとしているテクノロジーのインパクト、それによってもたらされる近未来のマーケティングについて、業界のキーパーソンたちが語ります。

  • マーケターに聞く テクノロジー活用の期待と可能性
  • 資生堂が挑む データドリブンカルチャーの醸成
  • 最新テクノロジーとマーケティングへの応用可能性【IoT】【人工知能】【フィンテック】
  • マーケティングオートメーションは何を自動化するのか
  • ブラックボックスだったテレビCMの効果をテクノロジーで徹底検証

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