大阪芸術大学グループ 70周年記念
演出家いのうえひでのり、映画監督熊切和嘉、俳優木下ほうから、いま日本のエンターテインメント、クリエイティブ分野で活躍をするトップランナー12人が大阪芸術大学に集結。ジャンルを超えてテーマを討論し、他に例を見ないイベントとなった。
トップランナーが語るプロの生き方
美術、デザイン、工芸、建築、映像、キャラクター造形、舞台芸術…など、他校に先駆けて新しい学科やコースを創設してきた大阪芸術大学。現在、14学科43コースを擁し、6000人近い学生が学ぶ。これは「いま社会は何を必要としているのか」と常に先を見据え、社会の中で、そしてビジネスの現場で必要とされる人材育成を最大限に考えてきた結果ともいえる。
そんな同大学を中心とする大阪芸術大学グループが、今年10月15日に創立70周年を迎えた。それを記念し、同月18日に記念イベント「EVOLUTION of DREAMS」を、大阪芸術大学キャンパスで開催した。
本イベントのテーマは、「その先の夢に向かって…」。当日、まずは同芸術情報センター展示ホールほかで日・韓・中・米国際交流作品展が開幕。本展には姉妹校である韓国・弘益大学校、中国・上海大学美術学院、米国・カリフォルニア美術大学が参加している。過去にも各大学との交流作品展は開催されているが、大阪芸術大学グループ創立70周年記念の試みとして、初の4カ国合同作品展が実現した。
午後には舞台、演技、デザイン、声優、コンサート、映像という6つのジャンルでトークショーを行った。トークに参加したのは、同大学を卒業し、各ジャンルで活躍するトップランナーたち。そして現在、同大学で教鞭を執るプロの教授らだ。
「“その先”というのは50年、100年という遠い未来ではなく、5年、10年くらい先のこと。いま学んでいる学生、これから自分が進むべき道を決める高校生たちが、自分のこととして想像できるものにしたいと考えました」と、同大学塚本英邦副学長は話す。
その後、全員が集合したクライマックスショー「その先の夢に向かって…」では、ジャンルを横断してトークが交わされた。クライマックスショーの総合司会を務めたのは、俳優筧利夫さんと同大学教授馬場典子さん。各トークショーで出てきたテーマを、全員でさらに深堀していった。
いくつかのトークの中でジャンルを問わず共通していたのが、「プロとして、どう生きていくか」。「この仕事が好き」という思いが十分にあったとしても、その仕事を一生涯貫くのはたやすいことではない。そこにはプロとしての技術、そして強い意志を持って臨んでいくことが求められていることを各人の立場から話した。
世の中が多様化した現在、ジャンルを超えてさまざまな人たちが関わりあっていかなければ、いまの時代のニーズに合うものを生み出すことは難しい。映像、アニメーション、舞台、デザインなど各ジャンルのトップランナーが一堂に会し、アートやクリエイティブの未来について共に考え、話し合う――他に例を見ることがない試みは、これからのクリエイティブにおける新たな可能性を引き出したと言えるだろう。
編集協力/大阪芸術大学