「絵を描いてみろ」と言ってくれたのはタモリさんだった
西野:いえ、僕は絵を描いていたわけじゃないんですよ。好きでも何でもなくて、今でもあまり好きではありません。もともとは小学校のときにガキ大将みたいな感じで威張ってたんですよ。それで女子としゃべる男を捕まえて、「お前、女としゃべんな」とやっていて。
澤本:ひどいね(笑)。
西野:兵庫県の田舎で硬派を気取って、俺は男だみたいな。俺は女に興味ないぜみたいな感じでいたんですけど、中学2年になった途端に女性の裸に興味が出てきてですね。非常に色っぽく見えて、むっちゃいいなと思って。
権八:そうですよね、中2ぐらいって。
西野:思春期がちゃんと来たんです。他の友達はエッチな本やビデオを貸し借りしているけど、僕は「貸して」って言えないんですよ。昨日まで女に興味ないって言っているから。
一同:爆笑
権八:そのフリかぁ、なるほど~、わかるわ~。
西野:貸してと言えなくて、でも買うお金もないから、これは描くしかないと。それで女子の裸を描いて、自分で性欲を発散するという自給自足の方法で。カミングアウトしたのは中3の頭で、「僕はどスケベだ」と。
中村:自分で描いて、自家発電的なことを。
西野:おかずつくって自分で食べみたいなことをやっていて。絵はそのときに描いただけなんですよ。下手だったら興奮しないから、急いでうまくなる必要があって、本当に真面目に描きました。
一同:笑
権八:なんて言っても技術の進歩はエロからだよね。
西野:その半年間だけエロい絵と向き合って、半年間でエロい絵はマスターしました。で、『いいとも』で本番中に答えのフリップを出すじゃないですか。そのときに表には答えを描いて、裏はタモリさんが隣にいるので、どスケベな絵を描いて、タモリさんに見せる遊びをずっとしていたんですよ。
権八:あははは!面白い!
西野:視聴者の方とお客さんにはバレないように。それをずっとやっていたときに、あるときタモリさんに呼び出されて、キレられると思ったら、「お前、絵を描けよ」みたいに言われまして。「絵かぁ、興味ないけどなぁ」と思ったんですけど、週5で休みだし、やっちゃおうかと。
権八:じゃあまず芸人以外の仕事は、絵から。
西野:そうですね、絵ですね。
権八:それ以外に色々やっているのは、どういうモチベーションで?
西野:僕、毎年日比谷公会堂で「西野亮廣独演会in日比谷公会堂」というライブイベントをしているんです。1人で2時間ぐらいわーっとしゃべるだけのもので、それに2000人集まるんです。音楽ライブの感覚で言ったら「たった2000」かもしれないですけど、お笑いライブの2000って結構大変で、毎年ヒーヒー言いながら集めてます。
ライブは土曜日の5時にスタートして7時に終わります。そこからお客さんはご飯を食べに近場の居酒屋に2、3人で行って、ライブの感想をしゃべったりすると思うんですけど、その居酒屋で独演会のチケット代以上のお金と時間を落としているわけですよね。
澤本:確かに。
西野:その居酒屋の店長に「西野くん、ありがとうね」って言ってもらえるんだったらいいですけど、それもないわけでしょ。僕はなんで自分が集めたエネルギーをようわからん居酒屋に流しているんだと思ったときに、エンタメしようと思ったら街をつくらないと循環しない、つまりエネルギーをリリースしちゃうことになるじゃないですか。
澤本:その発想がすごい。
西野:僕のお友達の居酒屋に独演会チケットの半券を持って行ったらビール1杯タダですよみたいに、お店に流れる仕組みをつくって。居酒屋の店員さんが着ている洋服がお洒落ですね、どこで売ってるんですか、とまたお友達の洋服屋さんにお客さんを流して。そのお客さんが独演会に還ってくるという仕組みをつくらないと、毎回ゼロから2000人集めてはリリースして、また次の年となっちゃう。そう思ったときに、街をつくって、みんなでせーのでやって、お客さんをシェアする状態をつくらないとお笑いライブがバテちゃうと思ったんですよ。
権八:はぁ・・・!ウォルト・ディズニーだ(笑)。
西野:そう。ディズニーやってるんですよね。ディズニーランドって、それやっちゃってるんですよ。
一同:笑
西野:あいつ結構面白いんですよ(笑)。知ってます?
権八:知ってるよ(笑)。
西野:今あいつ倒したいんですけど、僕。
澤本:打倒ディズニーってこと?
西野:そうなんですよ。それやらないと、と思ったときにお笑いをもっと盛り上げていこうと思ったら、お笑いだけやっていたらダメだと思って。それで色々やることになったんですよね。