1日を50円で売る“ホームレス芸人”、ホームレス小谷さんが生まれたワケ(ゲスト:西野亮廣さん)【後編】

ホームレスの小谷さんが1日を50円で売る理由

権八:いくつぐらいの人ですか?

西野:小谷は今32歳ぐらいですね。それで次は何したらいいですか?と言われて、次は社長になっちゃえと。いや、売るもんがないとなったときに、僕は前からお金に振り回されるのがむかつくと思っていたんですよ。貧しくても楽しくやってる人もいれば、何億と稼いでいる人でも自殺する人がいるじゃないですか。

お金ってなんだと思ったときに、人を使った実験で申し訳ない話なんですけど、小谷に「みんな1日働くってなったら8千円や1万円もらうけど、それを1回辞めて、50円で売れ」と。

澤本:50円!

西野:50円で1日何でもする。草むしりもするし、後片付けもする。今も毎日、BASEというサイトで、何月何日、50円で売ってますとスケジュールを出して。みんな50円だから買うんですよ。小谷は朝から昼まで一生懸命草むしりをすると。そうしたら買った人がさすがに大人を50円で働かせていいのか、みたいになってきて。

権八:そりゃそうだよね(笑)。

西野:結局、買った人は50円と言いつつ昼代を出すわ、夜代を出すわ、飲み代を出すわ、そのうえで「小谷くん、本当にありがとう」と言うんですよ。それで、お金を儲けるよりも恩をつくったほうが強いと思ったんです。

権八:恩ね、なるほど。

西野:恩で回したほうが人生豊かになるんじゃないかと。小谷はそれをずっとやって、毎日いろいろな人と出会うわけじゃないですか。毎回、むちゃくちゃ感謝されて。そういうことを2カ月ぐらいしていたら小谷が「西野さん、結婚しますわ」と言い出して。

権八:えっ!

西野:ツイッターのフォロワーの方と2回しか会ったことないのに、籍を入れたんですよ。

一同:えーっ!

西野:結婚はいいけど、式を挙げるお金がないと言って。また、どうしたらいいですかね?と言われたときにクラウドファンディングがあるなと。ネット上で結婚式をしますと宣言して、その資金を集めちゃえばいいんだと。それで、浅草の花やしきを貸し切って、ド派手に結婚式やっちゃいますと、クラウドファンディング上でプレゼンしたんですよ。そうしたら、一気に200万円ぐらいブワーッと集まって。

一同:すごい!

西野:支援してくださったんですよ。パトロンになってくれた人は誰かというと、これまで小谷のことを50円で買った人が「小谷くんが結婚するんだったら、あのときに50円で1日草むしりさせたんだから、それは」ということで5千円を出したり、1万円出したり。

権八:いやぁ、泣きそうになっちゃった。

澤本:俺もちょっと泣きそうになった、というか泣いてる(笑)。

中村:鳥肌立ちましたよ。

西野:それですぐにお金が集まって、集まりすぎたから結局100万円をフィリピンに寄付してるんですよ、あいつ。フィリピン台風で、被害が出たときで、これは直接持っていこうと。そういうので、お金じゃなくて、恩で人生をまわしているのがホームレスの小谷です。

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