電通は7日、企業間取引(B to B)向けマーケティング企業のバンド社を完全子会社化すると発表した。バンド社はNTTやIBM、マスターカード、シスコなどを顧客に抱え、テクノロジーと金融分野に強みを持つという。電通の海外本社、電通イージス・ネットワークを通じて株式100%を取得する。
バンド社は2002年設立。05年にはバンド香港支社の営業を開始した。2社合算の2014年12月期の総収益は370万シンガポールドル(約3億2000万円)。主に販売子会社や代理店、販売店向けのマーケティング施策を担う。シマンテックとの事例では、専任のスタッフ10人を据えた「パートナー・マーケティング・センター」を設け、販売パートナーを管理したり見込み顧客を提供したりして800万ドル超の売上をあげた。
パートナー・マーケティング・センター(PMC)は、顧客企業が販売パートナーのマーケティング力を伸ばすのを助けるサービス。見込み顧客の獲得キャンペーンの企画・制作を支援することもある。2009年に立ち上げて以来、PMCを活用する企業は現在8社。
「デジタル経済は多くの業界に破壊をもたらし、企業は生き残りのために戦略変更を余儀なくされている。多くのグローバル企業の間で、消費者向けマーケティングから法人向けマーケティングに予算を移す傾向が見受けられる。バンド社の買収は、当グループのアジア地域での企業向けマーケティングサービスの競争力向上につながるはずだ」(電通イージス・ネットワーク ニック・ウォーターズ CEO)
バンド社は買収後、電通イージス傘下で法人領域をカバーするカラ・エンタープライズの3つの拠点のひとつ、シンガポール拠点と合併する。
「正確なB2Bマーケティング市場の規模を図ることはできないが、どれだけ多くの多国籍企業がアジア太平洋地域にいることか。彼らはそのまま、B2Bマーケティングのスペシャリストを求める顧客だ」(バンド社マネージング・ディレクターのキーラン・バイ氏)
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