読売巨人軍とパートナーシップ契約を結んだ注目企業-成長の秘訣は「理念主義」

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
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老舗企業でもベンチャーでも、いま成長している企業に共通する特徴——それは、「マーケティング」という言葉を使わずとも、顧客視点に立った価値をつくり、イノベーションを起こすことに成功しているということです。新しい市場をつくった8人の「マーケター」の取り組みや考え方に迫ります。

新興のブランドが読売巨人軍と契約

2014年12月、読売巨人軍は「アンダーアーマー(UNDER ARMOUR)」の日本ライセンシーであるドームと5年にわたるパートナーシップ契約の締結を発表した。

読売巨人軍とのパートナーシップ契約の発表の様子。「アンダーアーマーの日本での人気が高まったり、巨人軍とのパートナーシップ契約で私たちの会社がメディアに露出する機会も増えたが、理念重視の姿勢は、創業当時も今も変わっていない」と赤倉氏は話す。

両者は「ジャイアンツは世界一のチームになる」というビジョンを共有し、ブランド価値のさらなる向上、ライセンスビジネスの拡大、ユニホームなどの用品サプライ、ブランドの国際化などで協力していくという。「アンダーアーマー」は1996年に米国で生まれたブランド。新興ブランドが日本を代表するプロ野球チームのユニホームサプライヤーとなったニュースは、驚きとともに受け入れられた。

「アンダーアーマー」は「アスリートを進化させる」ことをミッションに掲げるパフォーマンスアスレチックブランドだ。アメリカンフットボールのプレイヤーとして活躍した、自身もアスリートのケビン・プランク氏により設立された。そしてその日本ライセンシーを担うのが、前述のドームだ。ドームもまたアメリカンフットボールの選手だった安田秀一氏により1996年に設立された会社で、同氏が98年にアメリカで「アンダーアーマー」と出会い、その機能性に感嘆。ケビン氏にアプローチして、日本でのライセンシー契約を締結し、今日に至る。2人はスポーツに対する愛情を軸につながったビジネスパートナーであり、友人関係にある。

「アンダーアーマー」ブランドの世界的な躍進も注目に値するが、同様にこのドームも独自の哲学をもって、成長してきた会社だ。その根底にあるのは「スポーツを通じて社会を豊かにする」という理念。アスリート用の1本のテーピングの販売から始まり、「アンダーアーマー」をはじめとするスポーツプロダクト、「スポーツサプリメント」「スポーツメディカル」など事業を拡大してきた。現在、その社員数は330名を超える。

起業の原点は、安田氏がアスリートとして感じた日米のギャップ。当時、テーピングなどのメディカル商品もヘルメットなどのスポーツ用品も、米国では高品質の商品が低価格で手に入ることを知り、日本とのギャップに愕然としたという。

そこでまずは中間業者を通さない流通形態を構築し、当時アメリカでは1ドル程度の価格だったが、日本では3~4倍で売られていたテーピングをアメリカとほぼ同じ価格で販売できた。以後、「スポーツを通じて社会を豊かにする」という理念を貫き事業を展開。日米のギャップを埋めることを主軸に置くことで、サプリメントやパフォーマンスディレクションなど事業領域も自然と広がっていった。

「続きは100万社第5号本誌をご覧ください」

赤倉 吉典 Yoshinori Akakura
ドーム 執行役員
営業・マーケティング本部 副本部長

1972年生まれ。慶應義塾大学アメフト部出身。三和銀行(現東京三菱UFJ銀行)、ドイツ証券を経て、2012年にドームに入社、マーケティング及びダイレクトビジネスを統括。


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