今後のEC事業はどうあるべきか。
「ひとつのプラットフォームに収束させる必要がある反面、EC業界では今あるものを活かそうという意識が強い」というモデレーターによる課題提起に対し、北村氏は「多大な額を投資してシステムを構築している以上、仕方がない」と難しさを示唆する。実際に某スポーツメーカーに商談を持ちかけた際、最初は「既存のECサイトがあるためリプレイスは難しい」とお断りされたという。
しかし、数年後に別国でECを展開する際、デマンドウェアのシステムをテストケースとして使用して提案した結果、想像以上に成功し、これをきっかけに他国にも導入が広がり、最終的には全世界で導入されたという。「初めから大々的に全面展開するのではなく、小さいところからでも少しずつ挑戦していくことが必要」と北村氏は熱弁する。
一方で、川連氏は社内の体制について指摘した。「最もうまくいくのは、トップが現場のマネージャーを信頼して全権委任した上で、マネージャーがプロジェクトを推進するというケース。そして外部パートナーが、第三者としていろいろな数字を見ながら、客観的に組織について提言し、PDCAを回していくことができるとスムーズに進むと思う」。
最後に、EC事業者が2020年に向けたシステム統合を進める上で、どうすれば社内で影響力を持ち、プロジェクトをスムーズに進められるのか、二人からアドバイスがあった。
川連氏は、社内コミュニケーションのポイントについて触れる。「いかにトップラインを動かせる推進力を持てるか。経営者を納得させるには、自分の頭の中のロジックとは別に、シンプルなメッセージを用意しておくことが何よりも大切だ。」と時代変化に対応するためには、常に本質理解の必要性を示唆した。
対して、北村氏は「やはり人は大事。我々はベンダーとして、新技術を取り入れていくが、それを使うのは人。我々は日本のお客様の要望を聞いて、本国と調整しながら改良していく上で、人と人の間に立つということを意識しながら、コミュニケーションを大事にやっていきたい」と強い思いを示した。
2020年のECの姿は、一見すぐ手が届きそうだが、その前に横たわる溝は深い。人材の育成も含め、企業の取り組み方が、今後を左右するといっても過言ではない。自社の事業に置き換えて、まずどこから取り組むべきかを考え、一つ一つ課題をクリアすべく、歩みを進める必要があると強く感じる1日となった。日本で事業を展開して間もないデマンドウェアが、今後どのようにビジネスを展開し、その影響力を高めていくのか、その動向にも注目だ。
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