繁盛店と不振店の違いはどこにある?

—スタッフの研修もされているそうですが、ご自身の体験談を話さることもありますか?反響が大きかったエピソードがあれば教えてください。

私の失敗談が多いのですが、経験だけは豊富なので研修ではその場に応じたエピソードを話すようにしています。研修でよく話すのは、信頼される店長になるにはどうすればいいのかということです。

私が取締役と店長を兼務していた時の話です。出張している時に店が気になるので電話を入れると、電話に出た男性アルバイトが「今日は売上もいいですし、商品の店出しも全部終わりました。心配しないで明日はお土産を買って帰ってきてくださいね」と爽やかに報告してくれました。翌日店に行くと、彼が言ったとおり売上もいいし、店内業務もちゃんと整っている。嬉しくなった私は、キャリアパスを無視して、朝礼の時にサプライズ的にその男性スタッフのキャリアアップを発表しました。その時、他のスタッフの間に変な空気が流れたんです。

後でスタッフリーダーが私の部屋に来て、実は一所懸命働いていたのは別のスタッフで、キャリアアップさせた彼は仕事をさぼって遊んでいたのだと話してくれました。私は間違った評価をしてしまったんです。結局、遊んでいた彼と面談をして、その後退職することになるのですが、がんばった人をちゃんと評価しない店長は信頼されません。私の場合はリーダーが私を信頼して忠告してくれたおかげで間違いを正すことができました。

もしあのままだったら、スタッフはやる気を失い、店はおかしくなっていたでしょう。がんばった人をきちっと評価できる店長はスタッフに信頼され、スタッフは店長のためにも頑張ろうと思うようになり、店は見事に繁盛します。繁盛店と不振店の差はそこだけです。

—今も現場に行かれますか?現場ではどのような点を注意して見られますか?

少なくとも週に3日は現場にいます。

店に行って最初に見るのは、店長とスタッフがうまくいっているかどうか。店に行く目的の半分以上がこれを確認することです。店に行った瞬間にわかりますからね。うまくいっている店は活気があります。「すみません!今店長は裏にいるので、呼んできますね!」と元気よく応対してくれます。

うまくいっていないところは、多くの場合店長に問題があります。店長だってミスをすることはあるでしょう?その時に「ごめんなさい!」と正直にスタッフに謝れるかどうか。言い訳でごまかしたり、社員風を吹かせてなかったことにしようとしたりすれば、不信感を持たれます。そうしたことを繰り返す店長には、誰もついていきません。

次に見るのは店内のどこにスタッフがいるか。全員がカウンターにいては、他の仕事がまわりません。棚を作る人や補充をする人がいるかどうか。あとは段ボール箱が通路に置きっぱなしになっていないか、物の置き方や動線も見ます。

3つ目は、スタッフ同士のおしゃべりですね。仕事について大声で話すのは全然かまわないんです。「昨日のテレビ見た?」という声は、いくら小さな声でもお客さまには非情に耳障りです。

—最近の社会現象で気になる事象はありますか。

シニア世代の消費です。私はシニア世代ど真ん中ですが、シニアは老後を心配して、そんなにお金を使いたがりません。自分にとって本当に価値があるものにだけお金を使いたいのです。

当社では、古本のほかに中古の洋服や雑貨を扱うブックオフスーパーバザーを全国で34館営業しています。本に限らず不要品を売れば、その品物は無駄になりませんし、換金したお金を自分にとって価値あるものを買う時の足しにすることもできます。そういう部分でブックオフがシニアの消費のお役に立てればいいなと思っています。

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