—普段の生活でビジネスのヒントになることはありますか?
オフタイムは、家族の介護に充てています。そのために、会議の時間を融通してもらうこともあり、自由にやらせてもらっています。今後、私と同じように介護をしながら、仕事をしている状況の人が、社員の中にも増えてくるでしょう。介護をしていると辛い思いをすることもあります。そのために辞職してしまったら、会社は大切な戦力を失うことになります。なんとか介護辞職を減らすことができないかと、負担を軽減する仕組みを作りたいと考えています。
—最後に読者に向けてアドバイスをお願いします。
私は栄養士の資格を持っているので、働くならばその資格を活かしたいと決めていました。しかし、たまたま栄養士に空きがなくて、子どもの学費の足しにするためにブックオフでパートとして働き始めました。気がついたら20年以上も勤めています。あのころ、今のような未来が待っているとは夢にも思っていませんでした。
今は自分の夢とは違う職種で働いていて、こんなはずじゃなかったと思う読者の方もいるかもしれません。そういう人に「自分の目の前の仕事に一所懸命取り組んでほしい。そうすれば絶対に花は開きますよ」と言いたいですね。
私はキャリアウーマンになりたかったわけでも、ましてや社長になりたかったわけでもありません。ただただ夢中で売り上げをあげることを考えてきました。その結果として今があります。辛いことがたくさんありましたけど、やっぱりここにいて良かったと思うような楽しい思いも何度も経験しました。仕事というものは「超辛いけど超楽しい!」ものです。
今いる場所で辛い経験をしている人も、超楽しい体験をするまでぜひがんばってほしいと思います。
『販促会議』2016年1月号の連載「トップの現場力」より掲載
橋本真由美(はしもと・まゆみ)
ブックオフコーポレーション 取締役相談役
1949年生まれ。一宮女子短期大学卒業後、栄養士として栄養指導に従事。子育てに専念した後、ブックオフ直営1号店のパートタイムスタッフとして入社。店長、取締役、常務取締役を経て、2006年代表取締役社長、07年取締役会長。2013年より現職。