90万部突破の『人生はニャンとかなる!』誕生エピソード
中村:水野さんの本では、個人的には『夢をかなえるゾウ』の前の『LOVE理論』が衝撃的でした。モテるためのマインドの話をしていたと思ったら、急にフィジカルに、モテるために女子が好きそうな行動は決まっているんだ、と箇条書きにしている場所があったじゃないですか。
水野:「うわっつらカインドネス(Kindness)」ですね。
中村:要は、「車道側を歩け」「大丈夫?と頻繁に聞け」「寒くない?と頻繁に聞け」など、これをやっておけばいいんだという話が、マインドの話の間に急に挟まってきて、その落差がすごいなと思いました。
水野:「うわっつらカインドネス」という単語が大事なんですよ。たとえば、ホストっぽい人が女性に優しくしたり、「寒くない?」と言ってコートをかけたりするのって、どこかで男からしたらちょっとサブいじゃないですか。
権八:はい、はい。
水野:これがモテると言われても、なかなか実行したくないと思うんですよ。そこをこの水野は、やっぱり広告業界の猛者であるみなさんと同じジャンルの人間として・・・、今ちょっと寄せていってますけど(笑)、「うわっつら」と呼ぶことで、ちょっとバカにしながらもやっていこうみたいな。うわっつらな優しさだよ、これはと。でも、それをやればモテるんだと。ここが革命だったんじゃないかなと。
一同:笑
水野:誰も褒めてくれないんで、結局、僕が自分で褒めました(笑)。
中村:そもそも、『LOVE理論』以降、最近では『人生はニャンとかなる!』もベストセラーになっているんですよね。180万部ぐらい。
水野:そうですね。シリーズで4冊出てるんですけど、4冊合わせて180万部で、猫だけで90万部ぐらいですね。
権八:あ、犬も手を出してるんだっけ?
水野:犬からはじめて。
澤本:犬に手を出してるって(笑)。
水野:ちょくちょくトゲがあるな、この人(笑)。犬の本を出して売れたときに、書店員さんからポンポンと肩を叩かれて、「水野くん、わかってないね。本はね、猫なんだよ」と。「本当ですかぁ? じゃあ猫出します」と出したら、犬なんか比べものにならないぐらい売れたんですよ。
澤本:インスタグラムでも猫のほうが写真多いんですって。まず、iPhoneで撮る写真の枚数を比べても、犬よりも猫のほうが多いらしい。
水野:近い現象かもしれませんね。書店員さんが僕にささやいたのも同じだと思います。
権八:でも、出版物に関して言えばですよ、何をどう出せば売れるのか知り尽くしていて、「Mr.パーフェクト」と呼ばれている水野さんですよね(笑)?
水野:いや、ヒットを出すのはめちゃくちゃ難しいです。たぶんとても泥臭いことをやっています。先日、同級生にたまたま街で会ったんですよ。「おー、水野。お前、最近本売れてんじゃん。うまいことやるよなぁ。偉人の名言を寄せ集めて出して、本当に天才だよな」と言われて、面倒くさいから「そうなんだよ」と言いましたけど、「コイツ、ものづくりわかってねーな」と思いましたね。
中村:具体的には、どういったところが?