ターゲティングやSNSなどをブロック
アマゾンで見た商品の広告が、別のWebサイトで何度も出てくる――そんな経験のある人は少なくないだろう。行動追跡(トラッキング)の一例だ。Web上のあらゆる場所で行われるトラッキングに、Webブラウザ「ファイアフォックス」開発元の米モジラ財団が一石を投じた。トラッキングをブロックするiPhoneアプリの配信を始めたのだ。
アプリの名称は「Focus(フォーカス)」。インストールするとiPhoneのWebブラウザ「サファリ」で、サイトを見た人のデータを収集・保存するような広告やアクセス解析ツール、ソーシャルメディアがブロックされるようになる。
ブロック企業リストは公開、意見募集も
「フォーカス」がブロックする企業のリストは、プライバシー保護ソフトウエア会社ディスコネクトが管理・運用する。同社が技術者向けコード共有サイト「GitHub(ギットハブ)」で公開中のブロックリストには、フェイスブックやツイッター、グーグル、ヤフーのほか、ダブルクリックやアドランティス、アドロール、マイクロアドといった、オンライン広告事業を手がける企業が多く登録されている。日本の「.jp」ドメインも十数件ある。
ディスコネクトはリストへの意見をWeb上で受け付けており、ブロックされた企業は自社を外すよう申告したり、ユーザーがリストに加えるべき企業を伝えたりできる。同社幹部のコディ・ミルズ氏は、投稿以外でも「トラッキングツールは次々に登場するので、ひんぱんにリストは見直している」と話す。12月15日現在ではリストの更新日は10月16日だった。
米モジラ財団の広報担当者は、「運用・管理方法の透明性が高く、問題の改善を行えばリストから外されるプロセスを持つオープン性から、ディスコネクトのリストを採用した」と話した。「広告ブロックソフトの中には、企業から対価を受け取ってブロックリストから外すケースもあるが、当財団は『フォーカス』から収入を得る考えはない」(同)