全米広告主協会は「Do Not Track」を非難
基本的に、電子フロンティア財団(EFF)が定めた「Do Not Track(DNT)方針」に準拠する企業は、リストから外されるようだ。EFFはWeb上の人権保護に取り組む米国の市民団体。例外的に、ディスコネクトが開発するプライバシー保護アプリやWebブラウザ向け拡張機能のテストなどに必要な場合も、ブロックリストから外されるようだ。
「DNT」はインターネット利用者が、自らのプライバシーの措置について意思表明できるように考案されたもの。米連邦取引委員会が2011年に発表した報告書の原案には「Do Not Track の意思を利用者が示した場合、データの使用のみならず収集も制限される」とある。
利用者が意思を表明する「DNT」機能は、「ファイアフォックス」をはじめ主なブラウザが備えている。「DNT」設定をオンにしてWebサイトにアクセスすると、「トラッキングを拒否する」という信号が自動的にサイト側へ送られるのだ。ではWebサイト側がDNT通知をしたユーザーをトラッキングしないのかというと、そうしたケースは少ない。「DNT方針」にはいまのところ、法的な拘束力がないからだ。
ブラウザの「DNT」設定は過去、広告主企業や広告会社から大きな反発を受けた機能でもある。米マイクロソフト(MS)が2012年、「インターネット・エクスプローラー(IE)10」で最初から「DNT」設定をオンにしたところ、全米広告主協会などが抗議する事態となった。米ヤフーは当時、「IE10からのDNT通知には対処しない」とわざわざ表明したほどだ。MSはその後、「DNT」の初期設定をオフにした。
Webを支える企業と消費者 主導権の行方は
広告主企業は、単に広告に触れる人を増やすことは望まず、顧客になりうる人々に効率よく広告を届けたいと考えるのが常だ。「どんな人が広告を見ているのか」がブラックボックス化する「DNT」は歓迎される存在ではないだろう。効率的な広告配信と利用者のプライバシー保護の両立、「個人情報はWebを使うための対価なのか」今後、議論は増しそうだ。
「私たちは広告ブロッカーではない」とディスコネクトのミルズ氏は話す。「私たちの目的は何よりもまず、人々を望まないトラッキングから守ること。トラッキングを防ぐと一部の広告のブロックにつながるが、あくまでブロックの判断基準は、プライバシー侵害をしているかどうか。Webにはプライバシーを尊重した広告が必要」。
モジラ財団は「Firefox」でグーグルやヤフーの検索を使う機会を提供して収益を得ているが、「Focus」では検索連動広告をブロックしてもいる。「それでもユーザーの情報をトラッキングに使うかどうか、ユーザーが選べるようにすべき」とモジラの広報担当者は話す。「Webでの商業活動が信頼を保つことは、当財団のパートナー企業にも有益のはず」。
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