電力小売り自由化で、広告の役割はどう変わる?
「家族の絆」シリーズの広告効果を、「ばあちゃんの料理」篇の月例のCM好感度のデータを元に見てみたいと思います。一般的にCMは、オンエア開始直後に放送回数が大きく伸びるとともに好感度も上がり、一年ほど経った頃には忘れ去られてしまう…というのがよくあるパターンだと思います。しかし、「ばあちゃんの料理」篇は、放映は週一度ですから、放送回数は月4〜5回と一定のまま、時間の経過とともに好感度の値が少しずつ伸びていき、最大値を記録した放送開始後13ヵ月目のことでした。CMが1年以上見続けても飽きない内容だったことに加え、SNSなどを通してじわじわと拡散され、好感が上がっていったのだと推測できます。
また、CM放映1回あたりで獲得できる好感度の値で、「ピピッとコンロ」などの商品CMと比較してみると、「ばあちゃんの料理」篇は放映1回あたり約4~6万人の方の好感を得ているのに対し、商品CMは1万人前後という結果でした。これは、商品CMはスポット放映を行うため放映回数が多いことに起因するものでもありますが、「ばあちゃんの料理」篇を含む「家族の絆シリーズ」が、どれだけ効率が良いかがお分かりいただけると思います。
また、「ばあちゃんの料理」篇によって企業の印象がどう変わったか、当社で独自調査を行ったところ、「より東京ガスの名前が記憶に残った」「好感を持った」「信頼感を持った」「親しみを持った」といった項目に高い数値が見られました。「家族の絆」シリーズが東京ガスのブランド形成にいかに貢献できているかは、定量的にも明らかです。
2016年4月の電力、2017年のガスと、エネルギーの小売り全面自由化に向け、東京ガス、そしてエネルギー産業全体は大きな転換期を迎えています。これまで当社の広告は、「少しでも東京ガスのことを好きになってもらいたい」ということを目的にしていましたが、これからはそれに加えて「東京ガスを選んでいただくにはどうしたらいいか」をより意識しなければならないだろうと考えています。
エネルギー供給会社としてお客さまに選んでいただくためには、競合他社との差別化戦略として、「この企業だったら安心して任せられる」という企業のブランド力が非常に重要で、そこでは広告が担う部分が大きいのではないかと考えています。具体的に「何を伝えるか」についても、これまでの「ガス会社」としての訴求に留まらず、「(電力も扱う)エネルギーの会社」と認識していただくために、変えていく必要があると思います。「家族の絆」シリーズでつくってきた企業のイメージをベースに、「新しいエネルギー会社」として、東京ガスがどんな顔になっていくのか、ぜひご注目いただきたいと思います。
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