電通イージスは、高級ブランドに特化した広告会社「マクギャリーボウエン・ラグジュアリー」を立ち上げる。15日に買収を発表した、フランスの広告会社セイム・セイム・バット・ディファレントを、傘下のマクギャリーボウエンに加えて社名を変える。米国―欧州―中国のネットワークを強くするねらいがある。
高級ブランドに強い広告会社
旧セイム・セイムの取引先には国際的な高級ブランド企業が並ぶ。ルイ・ヴィトンやコーチ、ピアジェ、ヴァン クリーフ&アーペル、ロレアルなどだ。ほかに香港の宝飾品メーカーのチョーサンサン(周生生国際)や、仏百貨店プランタン、シャルル・ド・ゴール空港も顧客とする。
低迷する仏広告市場でも躍進
同社は2009年に設立。以来6年間、売上高は2ケタ成長を続ける。14年12月期の収益は約502万ユーロ(約6億7000万円)だった。フランスの広告市場は世界第7位だが、ことしは前年比0.1%増と横ばい。全体が低迷するなか、「当社は勢いよく業績を拡大できている」と創業者でCEOのミシェル・カンパン氏は自信を見せる。
米―欧―中をつなぐ線を太く
旧セイム・セイムの拠点はパリ、ニューヨークと、上海、香港。一方、マクギャリーボウエンは米州に4拠点と、ロンドン、上海。シンガポールにも現地広告会社との合弁会社がある。電通イージスはセイム・セイムを傘下に入れることで、フランスでのポジションを確立し、欧米とアジアをつなぐネットワークを強化するねらいがある。
中国から日本も視野に入れる
顧客の中には、中国客向けセールスが売上高の30~40%を占める企業もある。「中国人消費者は、『グローバル買い物客』の代表格。世界中で高い消費意欲を見せており、特に日本、韓国、パリ、ニューヨークで顕著だ。パリと中国、そして日本をつなぐことは、我々の顧客と我々自身にとって、ビジネスを広げる重要な戦略となる」。