試乗イベント盛況「スポーツサイクル」トップシェア企業の販促視点

店舗を1日休業し 全社員がイベントに参加

社員試乗会
インショップを除く全店舗を1日休業し、全社員が参加する試乗会。一般向けイベントと同様、約40社のメーカーなども出展する。

伊藤氏は「スポーツサイクルは、乗る人1人ひとりにあわせて、最適な商品を提案する必要があります。そういう意味で、私たちは“コンサル販売”をしていますので、店頭で接客するスタッフは当社の“いのち”と言っても差し支えありません」と話す。

そのために重視しているのが人材育成だ。伊藤氏は日頃から社員に向かって「自転車に乗ろう!」と呼びかけている。自分自身が乗らなければ、来店客の気持ちは分からないからだ。

「スポーツサイクルは趣味の世界です。趣味の世界では、年月を重ねるにつれて、自分が初心者だった頃の気持ちを忘れてしまうこともあります。自転車に乗ることで、初心者の顧客と同じ目線でスポーツサイクルを見ることができます。また、スポーツサイクルの楽しみを伝え続けることで、顧客をより高いスポーツサイクルの世界へと引き上げていくこともできます」(伊藤氏)

従来から同社は、人材育成の一環として、スタッフ向けにスポーツサイクルを試乗する機会を作っていたが、業務の都合などで参加できない人もいた。そこで始めたのが、全社員が参加する“社員試乗会”だ。インショップを除く全店舗を1日休業し、全社員が参加して、新商品などの試乗を行う。

注目したいのは、一企業の社員向けイベントにも関わらず、スポーツサイクルファン向けのイベントと同様、完成車スポーツサイクルメーカーの約40社がブースを構えて参加することだ。こうしたことが可能な理由のひとつとして挙げられるのは、ワイ・インターナショナルとメーカーとの信頼関係がしっかりと構築されていることだ。社長時代からメーカーとの信頼を築くことに全力を傾けてきたという伊藤氏は「メーカーなど取引先との信頼関係がないと、お客さまにスポーツサイクルの楽しみや価値を伝えていくことができません」と語る。

また、同社がイベントを実施する目的は、スポーツサイクルファンに楽しんでもらうだけでなく、スタッフの意識を高める面も大きな部分を占める。「イベントに参加し来場者と触れあうことで、お客さまは自然に来店するのではないというマインドが、スタッフ全員に必ず共有されていくと思っています」(伊藤氏)

次ページ 「基幹店の周辺に専門店独自の“ドミナント戦略”」へ続く

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