基幹店の周辺に専門店独自の“ドミナント戦略”
同社の店舗展開は、これまでの事業の中から試行錯誤を経て生み出した独自の戦略がある。顧客から支持され、店舗の売上が大きくなると、周辺エリアにウエアやカスタマイズなど関連分野に特化した専門店を複数オープンさせる「ドミナント戦略」だ。
新宿エリアと上野エリアでは、こうした同社独自のドミナント戦略が成功を収めた。現在はこの成功をもとに、ドミナント戦略を全国的に展開中だ。すでに、名古屋ではウエア店とカスタム店を出店。大阪ではウエア店をオープンさせている。
また、日頃の集客で力を入れているのがブログ運営だ。「ブログをどのように活用して情報発信していくか、先代とともに徹底的に取り組みました」と伊藤氏は話す。新商品紹介、イベント案内、スタッフコラムなどが主な内容で、記事は店舗や本部のスタッフが執筆している。
同社はこれからも店舗数の拡大やイベントの開催などを通じて、スポーツサイクルを文化として日本に根付かせていく意向だ。
文/ ジャーナリスト 蓬田修一
DATA
社名:ワイ・インターナショナル
本社所在地:埼玉県志木市
代表者:森時彦(代表取締役社長)
創業:1898年
事業内容:スポーツサイクル・自転車部品・用品の国内販売
売上実績:100億円規模(2015年)
従業員数:230人(パート、アルバイト除く。2015年10月現在)
伊藤 孝彦(いとう・たかひこ)
ワイ・インターナショナル 会長
元ライフセービング選手。大学時代は主将として全日本学生選手権優勝。卒業後は初の実業団選手として社業と競技の両立で活躍。2004年ワイ・インターナショナルに入社。2011年代表取締役社長に就任。スポーツサイクルの素晴らしさを、ひとりでも多くの人に伝えたいと普及に尽力。近年は得意のサーフスイムを活かし、トライアスロンの魅力に陶酔。トライアスロンとは“終わりのない自己への挑戦”であり、限りなく多くのものが学べることを伝えている。