デザインの力で会社を認知してもらう
「デザインの力で会社を認知してもらおう!」ということで、総合プロデューサーは佐藤可士和さん、商品デザインはフェラーリを外国人で初めてデザインしたことで非常に有名な奥山清行さん、ウェアのデザインは元イッセイミヤケのデザイナー滝沢直己さんにお願いしました。まず第1に企業の「顔」であるブランドマークを刷新し、コンセプト商品のトラクターとボート、それぞれのシーンで着るアグリウェアとマリンウェアをメディアとして発信するために作りました。特にコンセプトトラクター「YT01」は、2013年の「東京モーターショー」出展時に非常に話題になり、2015年の同ショーではこれをトラクターのグローバル戦略モデルの量産機として紹介してさらに注目を集めました。
第2に、外部に向けたブランドイメージ形成です。こちらは、国内外でそれぞれ取り組みました。国内では、売上げの約半分、唯一のBtoC事業である屋台骨のアグリ事業の本質的価値を伝えることが、ヤンマーのブランドイメージ形成に大きく繋がります。ここでの本質的価値は3つ。最初は、ヤンマーのDNAです。創業者である山岡孫吉は「お百姓さんをもっと楽にしてあげたい」という想いで、ディーゼルエンジンを小型化し日本の農業の省力化に大きく貢献してきました。次は、農業を知り尽くした高い技術力。最後は、日本の農業への恩返しということです。現在、日本の農業を取り巻く環境は大きく変化していますが、ヤンマーは、この本質的価値をもって「日本の新しい『農』をクリエイトしよう!」を合言葉に、アグリ事業で国内の企業イメージ形成に取り組んで来ました。
2015年春には、機能性が高くデザインが突出した農業機械の販売を開始。また生産者と消費者を結ぶプレミアムマルシェの実施等、おしゃれで格好良いという、これまで農業では重視されて来なかった概念でイメージ形成することにより、農業に興味を持つ人々を増やし、世の中の農業に対するイメージを変えて行きたいと思います。それが日本の農業を元気にし、農業の底上げへの貢献に繋がる活動と信じています。
一方、海外ではアジア戦略を見据え、アジア市場で人気の高いサッカークラブであるマンチェスター・ユナイテッドとコラボしたり、世界最高峰のヨット国際レース「アメリカズ・カップ」の覇者「Oracle Team USA」のテクニカルパートナーとしてエンジンを提供したりするなど、スポーツコミュニケーションを活用したブランディングを展開しています。
これらの取り組みの甲斐あって、最近は新しいトラクターを見た若者の「ヤンマー、すげぇ~!」という声や、新しいミニ耕運機を動かした若い女性の「これだったら、農家のお嫁さんになってもいいわ」という声、「このトラクターを買ってくれるんだったら農家を継いでも良い」という声をいただき、ようやく「何か新しいことをしている」会社と思ってもらえるようになったと実感しています。
このように、「デザインの力」を借りることで業界全体が活性化し、少しずつではありますが、実際に日本の農業を新しくクリエイトする動きが出てきています。今後はこれらをさらに大きなうねりにしていきたいですね。
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