箭内さん!どうして今、ラジオなんですか?

【前回コラム】「箭内さん!賞って、クリエイターにとって絶対に必要なものですか?」はこちら

—ラジオ局を開局するそうですね。福山雅治さんが出資をするという記事が、Yahoo!を賑わせていました。

はい。87.6MHzという周波数を総務省からいただいて、2016年春に「渋谷のラジオ」というコミュニティFM局を開局します。すべての番組が新番組で、全員が初代パーソナリティ。ゼロからイチをつくるのは大変なもんだなあと、東奔西走しているところです(笑)。

総務省に何度も何度も通って、ものすごい厚さの書類を提出して、というやり取りを2年近く重ねて、先日ようやく予備免許が交付されたところです。

寄藤文平さんデザインの公式キャラクター「ラジ公」。

—多くの人が「え、何で今ラジオなの?」と思ったのではないか、と…。

それは簡単に言うと「つくりたい」と思ったし、「必要だ」と思ったから。フリーペーパーを出したい、ロックイベントを開催したい、歌を届けたい、といった、これまでの動機と変わりません。

理由や、「なぜ今?」という時代との整合性は、広告という仕事をしてきた者として、もちろん毎回ロジックを伴った着地になるようにとは思っているし、こうして取材を受ければ、きちんと話せないといけないなとも思っています。でもそうは言っても、一番はやっぱり“初期衝動”なんですよね。「やりたいと思ったことをやれる自分でいたい」っていう心情が常に強くあるし、やりたいと思ったことを実現するというダイナミズム自体をつくりたいというか。それそのものが、一つの表現なんだと思います。

—“生き様”のようなものでしょうか?

生き様というと、大げさだけど(笑)。そうあることが、メッセージなんだという思いがあります。フリーペーパーやラジオと、アウトプットの形はいろいろあるけれど、「つくっちゃった!」「やっちゃった!」ということ、それ自体が重要で、成功も失敗も両方含めて、エネルギーを表出させたいのかもしれません。

—そういうエネルギーや、走っていく面白みのようなものは、記者会見の様子からも伝わってきました。箭内さんを中心に発される、目に見えない引力・磁力で、いろいろな人が巻き込まれているというか…。福山さんが出資に至った理由も、長年にわたって人気番組のパーソナリティを務めてきた福山さんの「ラジオへの愛」が背景にある一方で、「友人としての箭内道彦に賛同した」というお話もあるそうですね。

友人としての僕を心配してくれているという(笑)。本当にありがたいです。

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箭内 道彦
箭内 道彦

1964年 福島県郡山市生まれ。博報堂を経て、2003年「風とロック」設立。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」リクルート「ゼクシィ」をはじめ、既成の概念にとらわれない数々の広告キャンペーンを手がける。また、若者に絶大な人気を誇るフリーペーパー「月刊 風とロック」の発行、故郷・福島でのイベントプロデュース、テレビやラジオのパーソナリティ、そして2011年大晦日のNHK紅白歌合戦に出場したロックバンド「猪苗代湖ズ」のギタリストなど、多岐に渡る活動によって、広告の可能性を常に拡げ続けている。東京藝術大学非常勤講師、青山学院大学非常勤講師、秋田公立美術大学客員教授、福島県クリエイティブディレクター、郡山市音楽文化アドバイザーなども務める。

箭内 道彦

1964年 福島県郡山市生まれ。博報堂を経て、2003年「風とロック」設立。タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」リクルート「ゼクシィ」をはじめ、既成の概念にとらわれない数々の広告キャンペーンを手がける。また、若者に絶大な人気を誇るフリーペーパー「月刊 風とロック」の発行、故郷・福島でのイベントプロデュース、テレビやラジオのパーソナリティ、そして2011年大晦日のNHK紅白歌合戦に出場したロックバンド「猪苗代湖ズ」のギタリストなど、多岐に渡る活動によって、広告の可能性を常に拡げ続けている。東京藝術大学非常勤講師、青山学院大学非常勤講師、秋田公立美術大学客員教授、福島県クリエイティブディレクター、郡山市音楽文化アドバイザーなども務める。

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