最近、「どうしても欲しいもの」ってない。
石橋:モノがほしいって人は東京に行きたいと思う。モノより人を優先する人は山形にいたいと思うってことかな? 私なんかだと、あれが買えないから嫌だみたいな。すぐそういう考え方になっちゃう。仙台にしかLoftがないから山形不便とか。
井苅:私も前まではそういう感じだった。でも、最近私には、そういうどうしても欲しいものってない。
原田:山形なんて田舎だから早く出たいって思ってて、でも年を重ねることによって、モノに執着しなくなった。山形であるものがいいっていうか、山形で売っているものに魅力を感じます。東京や仙台に売ってあるものは全国で売っているものであって、山形限定っていうわけではないけれど、山形に売っているものとか、ごはんとか、そういうものだけでも十分いい。
石橋:疑問なのがね、神奈川から山形で暮らすようになって、山形にしかないものを感じたことがないの。山形の料理おいしいよって教授たちもみんな褒めるけど、お蕎麦も、果物も、お肉も、別のところに行けばあるっていうのを感じがして。例えば、仙台だったら萩の月は仙台にしかない。北海道だったら蟹とかウニとかある。だけど、山形って、例えば蕎麦とかいも煮とか言ってもどうしてもパンチに欠ける。山形にしか売ってないものってもっと詳しく聞きたいなって思った。それは…お蕎麦とか?
原田:お蕎麦っていうか、やっぱり山形のお店っていうか、そこで作っている人…う〜ん…わからないです。
相川:山形にしかないものはやっぱり人というのが大きいかもしれない。
石橋:何々さんが作っているお蕎麦だから、何々の会社が作っているお蕎麦だから好きになるの?それとも味が山形県民にとっては東京のとは違うなって思うから好きなの?
相川:それはそういうわけじゃなくて…
井苅:なんか、他のところに行ってラーメン食べても美味しくないと感じちゃうの。やっぱ水だよ。
相川・原田:あーそれはあるある。
相川:それは言われてるよね。
山形は「食べ物+人」を推すべきだと思ってる。
原田:山形は人を推すべきだと思ってる。「食べ物+人」。お店の人と知り合いになるから。
石橋:やっぱり人が強いのね。
井苅:だって初めての人とかでもトッピングタダでつけてくれたり。
原田:なんか何回も見たら「あー」みたいな。すぐに覚えてもらえるし、小っちゃいころから行っている店とかは「大きくなったね」とか言われたりすると、その人の家族じゃないけど、成長を見てくれているって感じがすごいする。家族じゃないけど知り合い。
井苅:ガソリンスタンドのお兄さんも、2回くらいしか会ったことないのに普通に話しかけてくれて。「元気?」みたいに。
石橋:それナンパされてるんじゃないの?
全員:(笑)
井苅:いいお兄さんなんですよ、優しくて。
石橋:山形の人ってシャイっていうイメージがあったけど、それは勝手な私のイメージ?今の話聞いてフレンドリーっていう印象が。
井苅:シャイじゃないと思うけど。
原田:うちのバイト先もそうだけど、基本的に常連さんは絶対覚える。来たら、「あ、おはようございます!」みたいに言って、普通に友達みたいにしゃべってたり。
「ヲタは地方に住むべきでない」と書いたら物議が…
相川:逆に聞きたいんですけど、山形とか遊ぶとこがないっていうのをよく耳にするんですけど、だとしたら東京では何をして遊ぶの?ショッピングとかするのはわかるけど、それ毎日したらお金無くなるじゃないですか。どうするんですか?
石橋:個人的にこの前Twitterで物議を醸したんですけど、「ヲタ(オタク)は地方に住むべきでない」って書いたら物議を醸して。私はモノにこだわったり、そこにしかない生のイベントにこだわったりするので。例えばもし山形でなく東京に住んでたら、大学終わった後に好きな舞台に1時間以内で行けてたなーとか思ってしまうんです。好きな映画の舞台挨拶があっても、泣く泣くあきらめなきゃいけない。向こうに住んでいたら電車で1時間、300円くらいで舞台挨拶でその人たちに会えたなっていうのを考えると、山形がやっぱり不便だって思っちゃう。でも、そういうのばっかりにこだわっているから感性が貧しいのかな。(笑)
相川:そういう人がきっと集まるのかな、東京に。(笑)
石橋:その時にしかやらない生のものとか、そこのイベント限定販売のシャンパンとかが欲しいわけ。
原田:それはわかるすごくわかる。山形でそういうのをするようになったらどうですか?
石橋:山形に来ます。逆に私が好きなイベントが仙台であると、東京の人たちはいくらでも仙台に来てる。そういうのはどうしても東京が多くなっちゃう。だから仕方なく東京っていうか、別にどこでもいいんだよね、場所は。たまたまイベントが東京だから東京に。
原田:そういうことか。
相川:モノがあるとかイベントがあるとか以外に東京の良さって何がありますか?
石橋:それはみんなと似ている理由だと思うんですけど、やっぱりそこで育って、そこの土地を愛しているから…例えば電車に乗っている時に、思い出すお父さんとここ来たなとか、この古い映画館まだあったんだとか、そういうのを思い出したり、あと高校の見学会でみんなでここに来たなっていうのを感じたり。やっぱり土地が好きだからっていうのはありますね。
原田:じゃあなんで山形を選んだの?
石橋:山形を選んだのは、企画構想学科というのがここにしかなかったから。
原田:山形ってどこにあるのか知ってた?
石橋:山形自体どこにあるのかよくわかんなかった。(笑)
3人:だよね。そうだよね。(笑)
石橋:こっちに来て、山形と仙台の距離感も全然知らなくて。友達に最初「仙台に行こ、遊びに。」って言われたときに、「何をばかなことこの人たちは言ってるんだ」って思ってたの。山形から仙台まで行くんだったら東京に行ったほうがいいじゃんって思って。でも高速バスで行ってみたら1時間だった。最初は北海道に行くくらいの感じだったの。東京の人たちほとんどそうだと思うよ。15分に一本、高速バスが往復しているなんて思わない。
相川:遊びに行きたいんだったら仙台に1時間で行けばいいんじゃないっていう感覚があるから、普段はじゃあ過ごしやすい山形にいようって感覚になります。
原田:結局、例えば自分が違うところで生まれ育ったら、そこにずっといたいて思うんだろうなって思う。生まれた場所だからね。ほかの場所知らないし。