- カルビー マーケティング本部 フルグラ事業部 事業部長 藤原かおり氏
- ポルシェジャパン 執行役員マーケティング部長 山崎香織氏
- アットホーム 取締役 コミュニケーション戦略部部長 新築分譲メディア事業部部長 末吉一敬氏
ブルーオーシャンへ漕ぎ出すためのイノベーションとは。
「日本のマーケターの集合知をつくろう」というスローガンのもと、設立されたJAPAN CMO CLUB。活動の中心的な役割を果たすのが、月に1回のペースで開催されてきた研究会だ。記念すべき10回目の研究会は、アットホームの末吉一敬氏、カルビーの藤原かおり氏、ポルシェジャパンの山崎香織氏を迎えて開催された。
不動産、食料品、高級自動車とジャンルの全く異なる3社が一同に会し、自社や業界の課題や取り組みを、カスタマージャーニーという視点から紹介。議論の後半では、それぞれの立場から見た、各参加企業への課題を指摘し、その対策となるアイデアを披露し、イノベーションのヒントとなる議論を展開した。
オーナーの自主的な活動が新たな顧客を生む、ラグジュアリーブランドのカスタマージャーニー
高級車として認知されているポルシェは、購入者層が限られていたこともあり、マス向けの広告宣伝にはそれほど注力していなかったという。しかし近年は、将来的なターゲットとして若年層への訴求や、ラグジュアリーブランドであるがゆえに消費者から「自分のブランド」として見てもらえないという課題も見えてきた。そのため、ブランド認知のためのマーケティング活動にも力を入れているという。
そうしたマーケティング活動の結果、カタログ請求やメールマガジンに登録した人たちを購入へ向かわせ、購入後にはより愛着を持ってもらうようなサイクルをカスタマージャーニーとして設計している。
自動車は次の新規購入までの期間が長い商材であるため、メンテナンスや車検などの利用期間中のコミュニケーションもまた、カスタマージャーニーとしては重視されている。
そうした接点において、オーナーのライフスタイルに合わせた部品交換やアクセサリーの提案なども行っている。
体験を通じて楽しみを共有し、プライドも醸成する
ポルシェのユニークさは、ブランドコンセプトでもある「Circuit to Road」を体感するオーナー向けのサーキット走行試乗会、ドライビングスクールなどを通じて、ブランドへの深い理解や、オーナーであることへのプライドを醸成している点だ。そうした体験を重ねていった結果として、ブランドとオーナーの関係性を強めている。
こうしたオーナーたちは、体験の場を共有することでオーナー同士の強い結びつきを持ち、自主的にオーナークラブを結成し、友人や知人を勧誘するというブランドの伝道者的な役割を果たしているという。
こうしたオーナークラブを企業側が公認することで、企業とオーナーの関係性も強化されていく。所有することがある種のステータスとなるラグジュアリーブランドならではの企業と顧客の関係と言えるだろう。
JAPAN CMO CLUB
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