ブルーオーシャンへ漕ぎ出すためのイノベーションとは。

ヨーグルトの“友達”のポジションで朝食シーンに浸透

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カルビー マーケティング本部 フルグラ事業部 事業部長 藤原かおり氏

高級車とはある種、対極に位置する商材を扱うカルビー。藤原氏は「フルグラ」でグラノーラカテゴリーを牽引している。今でこそ「フルグラ」がカテゴリーの代名詞的な存在になっているが、発売当初から成功していたわけではない。同時期に市場へ参入した競合も、売上げの不振から撤退する企業も多かったという。

こうした環境のなかで生き残り、ブランドを確立できた成功の理由は消費者の印象を変えることや、「とにかく一度試してもらう」(藤原氏)という体験を通じた「売れる環境づくり」をしたことにある。

「欧米で話題の健康志向の食べ物」という日本人の憧れを刺激し、ブームの土壌をつくり、そこから認知を高めるためのPRを展開し、店頭でのトライアルで顧客獲得を狙った。

中古市場を活性化し、リノベーション市場をつくりだす

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アットホーム 取締役 コミュニケーション戦略部長 新築分譲メディア事業部長 末吉一敬氏

高級車と同様、不動産も高額商品ではあるが、ブランド価値が高く、ステータスシンボルの側面があるポルシェとは異なり、住宅はより日常的なものだ。

一方で、1人の消費者が購入する回数は非常に少なく、物件を選択する際には非常に高いリテラシーが要求される。また購入へと至る過程の検討期が非常に長い商材だ。

近年は既存の住宅を改装・改築したリノベーション物件の人気が上がっており、新築物件よりも問い合わせの増加率が高いという。末吉氏は、こうした環境にありながら、スペック情報をシンプルに伝え、いまだ「中古物件」としてしかプレゼンテーションできていない業界のマーケティング面での課題を指摘した。

これについては、新築物件と中古物件で広告宣伝にかけることができる費用に格差が大きく、販売方法やプロモーションに自ずから限界が生まれてしまうという利益構造の事情もあるという。

藤原氏は、この中古物件からリノベーション物件への転換を、グラノーラを代表とするシリアルの「手抜き」、「鳥の餌っぽい」というネガティブなイメージから「フルグラ」と呼び名を変えておしゃれで欧米の食文化を彷彿とさせるイメージに転換した手法に似ていると話し、業界の違いはあっても新たな市場の作り方には共通のものがあるというイノベーションにつながるヒントを発見した。

次ページ 「ブルーオーシャンを見つけるイノベーションのヒント」へ続く

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