マジョリティ、マイノリティの区別なく欲しい情報を提供できる「人」がカギを握る
研究会の後半は、各社が事前にほかの参加企業に感じている課題とその解消につながるアイデアを議論した。
山崎氏からは、末吉氏に対して、他社との差異化を進めるために独身女性や「LGBT(性的少数者)」など、一般的に住宅を購入しにくいと感じる人たち向けのサービスにチャンスがあるのではないかという提案があった。ライフスタイルやニッチなニーズへの対応にイノベーションの余地があるのではという考えだ。
末吉氏はその方向性を認め「LGBT」は、これまではマイノリティでマーケティング対象にしづらかったが、ここまで注目が高まっている環境ではもはやマイノリティというくくりではないと思う」と指摘。
ほかにも帰宅しても寝るだけという若くて忙しいビジネスパーソンと、インテリアに興味が強く、自分で部屋を改装したいという人とでは志向は大きく異なるなど、細分化されたニーズに対して、旧来の「南向き」、「角部屋」といった情報では応えきれていないところが問題だと話した。
こうした細分化が進むニーズに応えることができるのは「この人に相談すれば自分の問題が解決できるのではないかと感じられる担当者、結局は人なのではないか」と話し、そういう人材をいかに育てていくかが重要だと話した。
これについては山崎氏も同意し、ポルシェジャパンの顧客もお気に入りの販売担当者とのコミュニケーションが大きな意味を持っていることに触れた。今後はこの人と人の関係性をいかにデジタルと融合させるかが課題になると話した。
「シーン」を拡大し、市場を広げる
山崎氏はまた、藤原氏へ向けてフルグラを朝食だけではなく、職場でのランチでも食べるように仕掛け、手軽でスタイリッシュなランチのイメージを訴求することや、イメージ戦略の一環として期間限定でカフェを出すことなどを提案した。
加藤氏も、オフィスで気軽に、なおかつ夕食前にとっても食べ過ぎにならない間食用のニーズはあるのではないかと話した。
フルグラのブランドとしては、まず朝食用に「時短」、「美味しい」、「健康に良い」というシーンでの地位を確立させたいという方針があり、その他のシーンについては選択肢が広がりすぎる懸念もある。しかしながら、藤原氏も販売チャネルとしてのコンビニエンスストアやオフィスでの“置き”グラノーラなどもあり、そういったチャネルでの体験を接点ととらえ、シーンを拡大する方法には可能性を認めた。
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