マーケターは自らの環境を「形作る」ことができなければブランドの未来は作れない

競争と変化の激しさに負けないために

画像提供:shutterstock

最近のビジネスやマーケティング関連のニュースの見出しには、とにかく「競争」や「変化」について、煽るものが後を絶ちません。

「デジタルを通じて新しい競争相手が登場」や「スマートフォンによって大きく変化したメディア環境」などの言葉は、もはやクリシェではあるものの、ついつい興味が湧いてしまいます。それは、そのニュース自体がありふれていたとしても、その内容によっては真剣に受け止めるべきものが含まれるからです。

そのため、マーケターの皆さんは日々、洪水のように溢れる新着記事の中から、本当に意味があるものを選別し、見出すことも仕事のうちかもしれません。

この確かな眼を養うために最近自分が見つけたのは、とある戦略に関する本です。『Your Strategy Needs a Strategy』というその本のタイトルは、直訳すれば「あなたの戦略には戦略が必要」という冗談のようなものですが、著者は老舗の戦略コンサルのボストンコンサルティンググループの社員3人の共著で、かなり真面目な内容です。

ここで語られているのは、戦略という、当たり前のように使っている考え方は大きく5種類に分けることができ、企業が直面しているビジネス環境と自社の対応能力に沿って選ぶべきである、という話です。そして、そのビジネス環境とは、冒頭で話したような競争や変化に主に関わるものです。外的環境が「どれだけ予測不可能か(unpredictability)」と、自社がどれだけ「柔軟にその環境に対応できるか(malleability)」、そしてその「環境がどれだけ苛酷なものか(harshness)」の3つが基準になっています。

この本では、いわゆるリチャード・ルメルト(『良い戦略、悪い戦略』の著者)のような人の戦略は「古典的」で、環境が比較的予測可能なものということを前提にしているとしています。これは端的に言えば、「過去の分析」が、未来に活用できるということを意味しています。

そして、冒頭で示したような最近のビジネス環境の変化の激しさを嘆くマーケターにとっては、この「古典的な」戦略アプローチだけでは不十分とし、環境の変化に対応するための方法をいくつか紹介しています。特に、その中でも興味深いのは「形作る(Shaping)」と呼んでいる戦略です。

次ページ 「ビジネス環境を自ら「形作る」ことが未来を生み出す」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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