マーケターの頭脳を結集した未来予測
メンバー全員が登壇をし、各チーム3分で自分たちの案を発表。全9つのチームによる発表の中で、参加者から最も多くの票を集めたのはネスレ日本・津田匡保氏(チームのプレゼンテーションを担当)、アフラック・澤村環氏、カーシェアリング・遠藤祐也氏、キリン・加藤美侑氏、ギャップジャパン・遠藤克之輔氏、ファイザー・福沢舞氏のチーム。
AIの進化が人の仕事を奪っていくという予測があるが、それでも人にしかできない仕事はあるし、企業はそこに人的資源を集中させていかなければならない。
アイデア勝負の仕事とも言えるマーケターも、人にしかできない仕事の一つ。ただ、その企画力を1企業でとどめておく必要はないのではないか。「カーシェアリング」のように、「人シェアリング」「マーケターシェアリング」が実現し、マーケターが1社にとどまらずにプロジェクトベースでいろいろな会社を掛け持ちして、仕事ができる世界ができたら面白い。
知やノウハウの共有が企業の垣根を超えて、実現しうるような未来ができたらマーケターの仕事はますます面白くなるはずという発表がマーケターの共感を集めて、見事、優秀賞に選ばれた。
その他、アイデアにあふれるマーケターたちの20年後の未来予想は、下記のとおり。
【Aチーム】
テーマは「ハピネス」。20年後PCは、その機能が体内に取り込めるまでに小さくなり、自動車は自動走行になっていく。クレジットカードも、プラスチックのカードがなくても決済ができるようになっていくのではないか。フィジカルなモノが消えていくという予測の中で、企業はこれまで以上にエモーショナルな価値が必要とされると発表した。
【Bチーム】
「超・ボーダレス時代の超・合理的社会の超・人間的社会の共存」と壮大なタイトルを付けたBチーム。今後ますますボーダーレス化、さらに合理化も進むはずだが、その社会では人は疲れてしまうはず。20年後はヒューマンタッチな部分も兼ね備えた「人間的社会の共存」する、素晴らしい未来ができるのではないかと発表した。
【Dチーム】
Dチームのタイトルは「テクノロジーの進化が人間性を回復する」。テクノロジーが生活を便利にするが、だからこそ人間だから感じられる五感が重要視される社会になるのではないかと予測した。
【Eチーム】
20年後、生活はより楽で自由になっているはず。そこで、あらゆることが手軽で楽になりすぎてしまうことが社会問題になり、逆に「生活を、少しややこしくするサービス」のニーズが出てくる。
【Fチーム】
「幸せのマーケティング」というタイトルで発表したFチーム。今日のテーマは「日本の20年後」だが、日本人だけが幸せになることを考えるのではなく、世界レベルで幸せ度合いを最大化することを考える必要があるし、そういうことを目的としたマーケティングがありうるのではないかと話した。
【Gチーム】
企画名は「2035年はブランドがなくなります」というセンセーショナルなもの。今後ますます嗜好性は多様化し、あらゆるモノがカスタマイズされていく時代がやってくる。そこでお客さまから選ばれるためには、「商品・サービスの本質」があるか否かが問われる。この核となる部分が、薄いブランドはなくなっていくのではないか、というのがタイトルに込めた考えだ。
【Hチーム】
「単一の終わりの始まり―グローバル戦略は誰にも響かない」という映画のタイトルのようなコピーを付けたHチーム。ボーダーレス化が進む中で、未来は「効率化追求」と「エモーショナル追求」の二極化が起きる。その中で、マーケターは一人ひとりのお客さまのエモーショナルを追求して、新しいお客さまとの出会いを求めて、ジャングルの中に一人で飛び込んでいくような勇気が必要と話した。
【Iチーム】
最近、話題のAIを軸に議論したIチーム。AIが進化をし、ロボットも普及するが人とロボットだけのコミュニケーションが増える世の中はつまらない。マーケターこそ、ロボットを媒体とした人と人のコミュニケーションをつくるべきと発表した。
新たなコラボレーションの予感も
約3時間のパーティは、三井住友カードの佐々木丈也氏の締めのあいさつでお開きに。佐々木氏は「他の企業の方々とお話をし、皆さんが本当に真摯にお客さまと向き合い、新たな価値を創出するために熱い思いをもってマーケティングに取り組まれていることを実感した。今日の議論にあった20年後を標榜しつつ、皆さんと一緒にイノベーションにつながるようなコラボレーションができれば」と話した。
JAPAN CMO CLUBの加藤希尊氏は、「今後もマーケターの皆さんが横のつながりを持ち、またマーケターという仕事の魅力を社会に向けて発信していけるような活動をしたい」とパーティを締めくくった。
JAPAN CMO CLUB
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