内製でPRが高速・多様化
9月1日には、おにぎらず用の「塩付のり全型」に『クッキングパパ』のキャラクターをあしらったパッケージを投入。4月に清水氏ら社員が作者のもとへ足を運び、早期に「第一人者」とのつながりを持ったことで全国的に「おにぎらず=浜乙女」のイメージを確立していった。その結果、流通対策にも好影響を及ぼし、全国規模の量販店で商品が採用されるようになった。
今回のように大量のパブリシティを獲得したのも、浜乙女としては新たな経験だった。「2015年の海苔の原料市場は芳しくなく、原価高騰のため広告宣伝費を例年より確保していませんでした。ですから特設サイトで使う画像の一部を社員が自ら撮ったり、メニューのアイデアを部門のメンバーで考えたりもしましたね。質も大切ですが、ブームに乗り遅れないためには、内製でコンテンツを生み出していくスピード感が重要。とにかくメーカー側が情報を出していけば、メディアや消費者が反応してくれると実感しました」。
秋には30~50代の主婦10人を対象にグループインタビューを実施したところ、「レシピやつくり方などの情報の充実」「クッキングパパのパッケージ」が商品購入の要因になっており、コンテンツが意思決定を後押ししているという結果も出ている。
今回のブームは、自社だけでなく業界全体にとっても意味があったと清水氏は言う。「お米や海苔がおいしいと再認識してくれた方は多いと思います。ユネスコ無形文化遺産に登録された和食が世界から注目を集める中で、日本の食文化の活性化に貢献できれば」といい、おにぎらずのブームをブームで終わらせることなく、和食文化を守るために消費者とのコミュニケーションを続けていきたいと考えている。
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