勘違いはコピーを育てない

選べることが「書ける」ということ

壁の越えかたは、いつもこうだ。まっすぐに、気持ち優先で、「できない」とは考えない。「できる」と思ってしまう。思い込んでしまう。自分の気持ちに素直で盲目なことは、こういう場合にはいい。後先考えないのがいい。だが、異動後がたいへんだった。自分はコピーを書けると勘違いしていた。

ノルディックスキーの世界王者、荻原健司という天才がいる。自分の感覚で飛び続けたジャンプに、クロスカントリーの腕を磨いて世界に君臨した。ある日、スランプに陥った。自分のジャンプがわからなくなった。理由なく飛べていたジャンプだったから、原因がどこにあるのかわからなかった。何シーズンももがき苦しんだ。

コピーを人に選んでもらったことで、自分はコピーが書けると勘違いした。そのコピーのどこがいいのか、どうやって書いたのか、を考えることなく、ただ書いていたことで、自分のコピーのどこが悪いのかがわからなかった。それから5年はコピーが下手だったと思う。

コピーは自分で自分のコピーを選べるようになってはじめて上達したと言える。天才でなければ、長年の経験を要する。はじめからコピーがうまく書けて、すぐに選べる人は少ない。けれども、うまく書けない間もコピーライターとしての仕事はしなくてはならない。たとえコピーが下手でも、上達しながら生きていかなければならない。そんな生き方をしてきたと思う。コピーがずっと下手だったから、そのやり方が身に付いたのかもしれない。

講座に来る方は、コピーがうまく書けなくていい。むしろうまくなくて、当然だと思う。そういう人にこそ、この講座に来てほしいと思う。赤城さんのコピーライターとしての経験と、安田さんのコピーライターとしての経験と、私のコピーライターとしての経験はすべて異なる。その異なる3つの経験を1度に受け継ぐことができる。こんな講座があったら、私が通いたかった。目指すのは、そう思える講座です。


原 晋
シカク コピーライター

1974年生まれ。99年東急エージェンシーに入社し、営業局へ配属。流通担当の営業として3年半を過ごす。自身で営業して書いたピアノ教室のコピーでTCC 新人賞を受賞。クリエイティブ局へ転局する。コピーライター、CM プランナーとして4年半、多くのグラフィック広告、TVCMにたずさわり、07年に退社。パイロンを経てフリーランスに。08年クリエイティブユニット・シカク結成。コピーライターという職域を越えて幅広く広告活動全般に関わる。主な仕事にフジテレビ 「LIFE !S LIVE」キャンペーン、JR東日本「のもの」、UACJ「ある日、アルミは」、毎日新聞、ロッテ「cafca」、岡本「SUPER SOX」、マンシングウェア、arena など。TCC 新人賞など受賞。

 


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