再生回数は合計3000万回
シンガポール航空のオンライン動画「No Detail Is Too Small」がソーシャルメディアを中心に話題となった。公開から2時間で16万人超が視聴し、累計再生回数は、FacebookとYouTube合わせて2860万回(2015年12月時点)に達した。「いいね!」や投稿のシェア、コメントといった利用者からの反応は47万6116回に上った。
同社のサービスの品質の高さをアピールする世界的なキャンペーン、「The Lengths We Go To(あなたのくつろぎのために)」の一環。シンガポールのデジタル系広告会社、電通メビウスが企画した。
50分の1大で座席機能を再現
サービス精神を伝える動画といっても、くつろぐ乗客や、キャビンアテンダントがもてなす様子などは登場しない。ほとんどがマニラ紙を細かく切っては組み立てる場面だ。映像が進むにつれ、シンガポール航空「エアバスA380」の備える5種類の座席が、形をなしていく。
50分の1の大きさとなった「エコノミー」から最高級の「スイート」はすべて、リクライニングのような可動部分や、コンパートメントのとびらなどまで再現した。こうした精密なペーパークラフトを制作することで、「サービスの“きめ細かさ”の本当の意味を表現したかった」(電通メビウス)という。
制作時間はのべ1000時間に
制作したのは、24歳のアーティスト、ルカ・ラコーニ=スチュワート氏だ。高校の建築科で学んだ、マニラ紙によるモデリング技術を生かし、自主的に大型旅客機「ボーイング777」の模型づくりを開始。制作過程をYouTubeで公開していたのが目に止まったようだ。
今回の動画は2分程度だが、制作時間は1000時間を超える。100枚のマニラ紙の書類ばさみから切り出した部品は約3000点。愛用のデザインナイフ「X-ACTO グリップスター」の刃は50回も交換した。最も苦労したのは「ビジネスクラス」の座席だ。デザインに24日、制作に9日間を費やした。
「広告という感覚なかった」
創作風景が広告になることに抵抗はなかったか
ラコーニ=スチュワート氏:いいえ、ありません。僕の創作が誰かの役に立ち、対価も得られるというのは、すばらしい機会だったと思います。
公開からすぐ、多くの人に視聴されたポイントは
ラコーニ=スチュワート氏:シンガポール航空は僕をアーティストとして扱ってくれました。そして、僕の作品が企業メッセージを代弁することを許してくれた。だから、広告のために働いたという感覚はありません。動画を見てくれた人たちにも、「広告視聴を強制された」という感情は残らなかったんじゃないかな。そうだったら嬉しいですね。
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スタッフリスト
- CD
- Mike Middleton
- シニアAD
- Matthew Crescenzo
- AD
- Mustapha Zainal
- D
- Dominic Ho
- C
- Zee Yeo
- シニア・アカウント・ディレクター
- Jessica Beaton
- シニア・アカウント・エグゼクティブ
- Ng Xin Rong, Noreen Tjindra